結論:令和8年分の年末調整には、令和8年度税制改正が反映されます。 基礎控除と給与所得控除が上がりました。扶養親族などの所得要件は「合計所得金額58万円以下」から「62万円以下」になりました。
11月までの毎月の源泉徴収は変わりません。改正の効果は、12月の年末調整でまとめて精算します。
「今年の年末調整は何が変わるのか」「従業員にどう案内すればいいのか」。この記事は、年末調整を社内で行う会社の経理・総務の担当者と経営者に向けて、次の3つをまとめます。
- 令和8年分で変わる点(従業員への案内に使える形で)
- 11月から令和9年(2027年)2月1日までのスケジュール
- 会社が準備することのチェックリスト
内容は、国税庁の「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」と「令和8年分 年末調整のしかた」などにもとづいています。
先に結論:令和8年分で変わる5つの点
| 変わる点 | 令和8年分の内容 | 会社でやること |
|---|---|---|
| 変更点1:基礎控除・給与所得控除 | 基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円(所得が増えると段階的に減る)。給与所得控除は、最低保障額が65万円から74万円に上がり、給与収入220万円以下なら74万円 | 令和8年分の申告書で計算し、給与ソフトの対応を確かめる |
| 変更点2:扶養などの所得要件 | 扶養親族・同一生計配偶者は合計所得金額62万円以下(これまでは58万円以下) | 新しい基準を従業員に案内する。新たに扶養親族などに当たる家族がいる人には、異動を書いた扶養控除等申告書を出してもらう |
| 変更点3:特定親族特別控除 | 19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額62万円超123万円以下なら最高63万円(令和7年分に創設。対象の下限が58万円超から62万円超に) | 該当する人に申告書を案内する |
| 変更点4:生命保険料控除の特例 | 23歳未満の扶養親族がいる人は、一般生命保険料(新契約)の上限が6万円 | 保険料控除申告書の書き方を案内する |
| 変更点5:申告書の様式 | 令和8年分の様式は、基礎控除の金額表などが改正後の金額に変わっている | 12月1日以後の年末調整では、前年の様式や記入例を使い回さない(11月30日以前に年末調整をする場合は、下の「変更点5」の章を参照) |
表の「合計所得金額」は、給与や事業などの所得を合計した額です。給与だけの人なら、給与の収入から給与所得控除を差し引いた額になります。収入金額そのものではない点に注意してください。
このほか、法定調書の出し方も変わります。令和9年1月以降は、市区町村に給与支払報告書(従業員の住民税の計算のために市区町村へ出す、源泉徴収票と同じ内容の書類)を出せば、税務署提出用の源泉徴収票は作らなくてよくなります(スケジュールの章の「税務署提出用の源泉徴収票は作らなくてよい」で説明します)。
改正はいつから? 11月までの源泉徴収はそのまま
改正の時期は次のとおりです(国税庁の案内)。
- 改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用される
- 令和8年11月までの毎月の源泉徴収は変わらない
- 改正の効果は、令和8年12月の年末調整でまとめて精算する
- 改正後の源泉徴収税額表は、令和9年1月1日以後に支払う給与から使う(国税庁のQ&A(令和8年5月))
毎月の税額は、11月まで改正前の表のままです。控除が増えた分は、12月の年末調整で1年分をまとめて精算します。
給与ソフトを使っている会社は、次の2点を確かめてください。
- 令和8年分の年末調整の計算が、改正後の金額に対応しているか
- 令和9年1月1日以後に支払う給与で、改正後の源泉徴収税額表を使う設定になるか
条文を確かめたい方へ: e-Gov法令検索で条文を開くと、既定では、その日に施行されている版が表示されます。基礎控除や扶養の所得要件などの改正は、令和8年12月1日の施行です。それより前に開くと、改正前の金額(58万円・65万円など)が表示されます。源泉徴収票のみなし提出の特例と、e-Tax等で提出する義務の基準(30枚以上)は、令和9年1月1日からの適用です。それより前に開くと、改正前の内容(100枚以上など)が表示されます。この記事の金額と手続きは、国税庁の案内と手引にもとづいています。条文の番号は、基礎控除が所得税法86条と租税特別措置法41条の16の2、給与所得控除の74万円が租税特別措置法29条の4、扶養親族の定義が所得税法2条1項34号、特定親族特別控除が所得税法84条の2、源泉徴収票のみなし提出の特例が所得税法226条、e-Tax等で提出する義務の基準が所得税法228条の4です。
変更点1:基礎控除と給与所得控除が上がる
基礎控除(令和8年分・令和9年分)
基礎控除は、本人の合計所得金額に応じて次のとおりです(国税庁 No.1199 基礎控除)。
| 本人の合計所得金額 | 基礎控除 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
給与所得控除(令和8年分・令和9年分)
給与の収入金額が220万円以下の人は、給与所得控除が74万円になります。給与所得控除の最低額(最低保障額)が、65万円から74万円に上がったためです。74万円は、令和8年分・令和9年分に限った特例(租税特別措置法29条の4)による額です(国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」)。令和7年分は、給与収入190万円以下の人が65万円、190万円を超え220万円以下の人は「収入×30%+8万円」(65万〜74万円)でした(国税庁 No.1410 給与所得控除)。
給与だけなら178万円が、所得税のかからない目安
いわゆる「年収の壁」の一つです。給与収入だけで、ほかの所得控除を考えない場合、所得税がかからない目安は178万円です。基礎控除104万円と給与所得控除74万円を足した額です。
この記事で説明している金額は、すべて所得税の基準です。住民税や、健康保険・年金の扶養(被扶養者)は別の基準で、これらの金額では判定できません。
変更点2:扶養と配偶者の所得要件が62万円に
扶養などの判定に使う所得の基準が、それぞれ4万円上がりました。健康保険・年金の扶養(被扶養者)は別の基準で、この記事の金額では判定できません。
| 対象 | これまで | 令和8年分から | 給与収入だけの場合の目安(令和8年分) |
|---|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者(配偶者控除の判定に使う配偶者の基準) | 合計所得金額58万円以下 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| ひとり親の「生計を一にする子」 | 総所得金額等58万円以下 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 勤労学生(本人) | 合計所得金額85万円以下 | 89万円以下 | 163万円以下 |
出典は国税庁のNo.1180 扶養控除、No.1191 配偶者控除、No.1175 勤労学生控除、基礎控除の引上げ等についての案内です。給与収入の目安は、給与収入から令和8年分の給与所得控除74万円を差し引いて計算しています(国税庁のQ&A Q3-1)。
ひとり親の子だけは、合計所得金額ではなく「総所得金額等」(総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の合計額)で判定します(所得税法施行令11条の2第2項、国税庁のQ&Aの「所得要件」の説明)。
配偶者控除は、従業員本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者が同一生計配偶者(合計所得金額62万円以下)の場合に受けられます(国税庁 No.1191 配偶者控除)。
配偶者特別控除は、従業員本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が62万円を超え133万円以下の場合です(国税庁 No.1195 配偶者特別控除)。配偶者が給与収入だけなら、207万円以下が目安です。
従業員に案内するときは、「今年から基準が62万円になった」と一言添えてください。前年の感覚で「58万円を超えたから扶養から外す」と判断すると、受けられる控除を書き漏らすおそれがあります。
改正で新たに扶養親族などに当たる家族がいる従業員には、異動を書いた扶養控除等申告書を出してもらいます。「異動月日及び事由」欄には「令和8年12月1日 改正」などと書きます(国税庁のQ&A Q2-1、所得税法194条3項)。期限は原則として12月1日以後最初の給与の前日までですが、年末調整を行う時までに出してもらえば、その内容で年末調整ができます。
変更点3:19歳以上23歳未満の家族は「特定親族特別控除」も確認
大学生の子などの所得が62万円を超えると、扶養親族から外れます。その場合に使えるのが、特定親族特別控除です。令和7年分に創設されました(国税庁 No.1177 特定親族特別控除)。
- 対象:生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下の人(令和7年分は58万円超)
- 控除額:最高63万円。所得が増えると段階的に減り、120万円超123万円以下では3万円
- 給与収入の目安:給与収入だけなら197万円以下
- 手続き:年末調整で受けるには、特定親族特別控除申告書の提出が必要(所得税法195条の3)
19歳以上23歳未満の親族の合計所得金額で、使える控除は次のように分かれます。
| 親族の合計所得金額 | 使える控除 |
|---|---|
| 62万円以下 | 扶養控除(扶養親族) |
| 62万円超 85万円以下 | 特定親族特別控除 63万円 |
| 85万円超 123万円以下 | 特定親族特別控除(段階的に減り、最後は3万円) |
| 123万円超 | どちらも対象外 |
令和7年分の基準では特定親族だった子(合計所得金額58万円超62万円以下)は、令和8年分では特定扶養親族(扶養控除の対象)になります。扶養控除等申告書に特定親族として書いていた場合は、異動を書いた扶養控除等申告書を出してもらいます(国税庁のQ&A Q2-4)。
変更点4:23歳未満の扶養親族がいる人は、生命保険料控除の上限が6万円に
令和8年分と令和9年分に限った特例です(租税特別措置法41条の15の5)。
- 一般生命保険料(新契約)の控除の上限が、4万円から6万円になる
- 新契約と旧契約を合わせて控除する場合も、最高6万円
- 生命保険料控除の3つの枠を合わせた上限12万円は変わらない
- 扶養親族の年齢は、12月31日の現況で判定する
- 保険料控除申告書に、その扶養親族の氏名と個人番号を書く(会社が個人番号の帳簿を備えていれば、記載を省略できる場合がある。くわしくはマイナンバーのチェックリストで説明します)
計算のしかたは、国税庁のNo.1140 生命保険料控除にまとめられています。
この特例を受けられるのは、23歳未満の扶養親族(合計所得金額62万円以下)がいる場合だけです。所得の見積額が62万円を超える家族(特定親族など)は対象になりません。国税庁の年調ソフト(令和8年分)には、23歳未満の家族の所得の見積額が62万円を超え、「他の所得者の控除対象」を「はい」にしているときに、その家族を23歳未満の扶養親族とする申告書が作れてしまう、という事象があります。作れてしまうのは、保険料控除申告書(生命保険料控除の特例)と所得金額調整控除申告書の2つです。そのため、生命保険料控除額や所得金額調整控除額が過大になることがあります。このとき、申告書のデータ(XML)では、その家族の所得の見積額が0円になります。修正版は令和8年11月中旬頃に出る予定です(国税庁「令和8年分年調ソフトに関する事象について」、令和8年10月22日)。
修正版より前に年調ソフトで作られた保険料控除申告書や所得金額調整控除申告書に、23歳未満の家族が書かれていたら、その家族の所得の見込みが62万円以下かを確かめてください。申告書のデータでは見積額が0円になっていることがあるため、従業員本人に確かめます。
変更点5:申告書は令和8年分の様式を使う
次の4つの申告書は、令和7年分と同じく、1枚にまとめた様式(兼用様式)を使います(国税庁 A2-4)。
- 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
令和8年分の兼用様式では、基礎控除の金額表などが改正後の金額に変わっています。保険料控除申告書の「生命保険料控除」欄には、23歳未満の扶養親族がいる場合の特例のための記載欄が加わっています(国税庁 A2-4、A2-3 給与所得者の保険料控除の申告)。
令和8年分の兼用様式は、令和8年12月1日以後に行う年末調整で使います。死亡による退職や海外への転勤などで、令和8年分の最後の給与を11月30日以前に支払い、その時に年末調整をする場合は、令和7年分の兼用様式を直して使います(国税庁 A2-4)。保険料控除申告書は令和8年分の様式を使い、裏面の注意書きにある所得の要件(62万円以下。給与だけの人は給与の額が136万円以下)を、58万円以下(同123万円以下)に読み替えます(国税庁 A2-3)。この年末調整には、基礎控除の引上げなどの改正後の控除は適用されません。本人(死亡退職の場合は相続人)が改正後の控除を受けるには、12月1日以後に確定申告(準確定申告)をするか、提出済みの準確定申告について更正の請求をします(国税庁のQ&A Q1-3・Q6-3・Q7-1)。
社内の記入例やマニュアルが前年のままだと、金額が改正前になります。配る前に、令和8年分の様式に合わせて直してください。
システムで申告書を作る場合は、令和8年分の改正への対応状況を、提供会社のお知らせで確かめてください。マネーフォワード クラウド年末調整の流れは、マネーフォワード クラウド年末調整の使い方にまとめています。
年末調整の対象者と、申告書の提出期限
年末調整の対象は、扶養控除等申告書を出していて、その会社に年末まで勤めている人です(年の途中で入社した人を含みます)。ただし、次の人は対象になりません(所得税法190条、国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人)。
- その年の給与が2,000万円を超える人
- 災害減免法により、その年の給与にかかる源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人
- 年の途中で退職した人(死亡による退職や、12月分の給与を受けた後の退職など、一部の場合を除く)
申告書ごとの提出期限は次のとおりです。
| 申告書 | 提出期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書 | その年最初の給与の前日まで | 所得税法194条1項 |
| 基礎控除申告書 | その年最後の給与の前日まで | 所得税法195条の4 |
| 配偶者控除等申告書 | その年最後の給与の前日まで | 所得税法195条の2第1項 |
| 特定親族特別控除申告書 | その年最後の給与の前日まで | 所得税法195条の3第1項 |
| 保険料控除申告書 | その年最後の給与の前日まで | 所得税法196条1項 |
令和8年分の扶養控除等申告書は、年初や入社時に出してもらっているはずです。年末調整の前に、全員分がそろっているかを確かめてください。改正で新たに扶養親族などに当たる家族がいる人からは、異動を書いた扶養控除等申告書も出してもらいます(変更点2・変更点3、所得税法194条3項)。
所得金額調整控除申告書(租税特別措置法41条の3の12)は、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書と1枚にまとめた兼用様式(変更点5)に含まれています。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、1年目は本人が確定申告で受けます。2年目以降は、住宅借入金等特別控除申告書を出してもらい、年末調整で受けられます(租税特別措置法41条の2の2)。
住宅借入金等特別控除申告書は、税務署から本人に届きます(用紙の下の部分が控除証明書です)。あわせて、金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」も添付してもらいます。ただし、金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を出した人(調書方式)は、年末残高等証明書の添付は要りません(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」29ページ)。
スケジュール:11月から令和9年2月1日まで
熊本県八代市・宇土市・宇城市・氷川町の会社は、期限を国税庁の案内で確かめてください。 令和8年熊本地震により、これらの地域に納税地がある方は、2026年7月28日以後に期限が来る国税の申告・納付・書類の提出などの期限が、申請しなくても延長されています(延長後の期限は別途告示。国税庁の案内)。12月分の源泉所得税の納付や、税務署への法定調書・法定調書合計表の提出(出す場合)も国税の手続きです。ただし、源泉所得税の納付は、給与を支払う事務所がこれらの地域にある場合が対象です。給与支払報告書は地方税(市区町村への提出)のため、国税の延長とは別です。提出先の市区町村の案内を確かめてください。対象地域の外でも、地震の被害で期限までに手続きができないときは、税務署に申請すれば期限の延長を受けられることがあります。
| 時期 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 11月 | 改正点・社内の提出期限・添付書類を案内し、令和8年分の申告書を配る(システムなら提出を依頼する) | 社内で決める |
| 社内の提出期限まで(法令上はその年最後の給与の前日) | 申告書と添付書類を回収し、内容を確かめる | 所得税法195条の2ほか |
| 12月、その年最後の給与 | 1年分の税額を計算し、源泉徴収した税額との過不足を精算する | 所得税法190条 |
| 令和9年1月12日 | 12月に源泉徴収した所得税(年末調整で徴収した不足額を含む)を納める。納期の特例を受けている会社は1月20日 | 所得税法183条1項・190条・216条、国税通則法10条2項 |
| 令和9年最初の給与の前日まで | 令和9年分の扶養控除等申告書を回収する | 所得税法194条1項 |
| 令和9年2月1日(月) | 源泉徴収票を本人に交付する(年の途中で退職した人は退職後1か月以内)。市区町村に給与支払報告書を出す(出せば、税務署提出用の源泉徴収票は不要。給与の源泉徴収票しかなければ合計表も不要)。退職所得の源泉徴収票や報酬・料金の支払調書などがあれば、税務署にその法定調書と法定調書合計表を出す | 所得税法226条1項、地方税法317条の6第1項、国税通則法10条2項、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた、国税庁 法定調書の手引 第1章・第2章、源泉徴収票のみなし提出の特例 |
12月分の納付は1月12日
12月に支払った給与から源泉徴収した所得税と、年末調整で徴収した不足額は、翌月10日までに納めます(所得税法183条1項・190条)。令和9年は1月10日が日曜日、11日が成人の日のため、12月分の納期限は1月12日です(国税通則法10条2項)。
納期の特例(給与を受ける人が常に10人未満の事務所が、税務署長の承認を受けて、給与・退職手当と、税理士・弁護士などの報酬・料金の源泉所得税を、半年分まとめて納める制度。所得税法216条)の承認を受けている会社は、7月から12月までの分を1月20日までに納めます。承認を受けているか分からないときは、これまでの納付が毎月だったか、半年ごと(7月と1月)だったかで確かめてください。
1月31日の期限は、2月1日(月)に
次の3つは、本来の期限が1月31日です。令和9年は1月31日が日曜日のため、翌日の2月1日(月)が期限になります(国税通則法10条2項、地方税法20条の5第2項、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、国税庁 法定調書の手引 第1章・第2章)。
- 源泉徴収票の本人への交付(国税庁 No.7411)
- 税務署への法定調書と法定調書合計表(提出する法定調書の種類ごとの枚数と支払金額の合計を書いた表)の提出(退職所得の源泉徴収票や報酬・料金の支払調書など、給与所得の源泉徴収票以外の法定調書がある場合)
- 市区町村への給与支払報告書の提出
源泉徴収票の本人への交付について、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と法定調書の手引 第2章は、期限を令和9年2月1日(月)としています。
年の途中で退職した人には、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付します。
税務署提出用の源泉徴収票は作らなくてよい
令和9年1月以降、市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署に源泉徴収票を出したものとみなされます。これを「源泉徴収票のみなし提出の特例」といいます(国税庁 源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ、F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表))。
そのため令和8年分は、税務署提出用の源泉徴収票を作る必要がありません。作るのは、本人に渡す源泉徴収票と、市区町村に出す給与支払報告書の2つです。
- 本人への源泉徴収票の交付は、これまでどおり必要です。全員分を、令和9年2月1日(月)まで(年の途中で退職した人は退職後1か月以内)に交付します
- 給与所得の源泉徴収票しかない場合は、税務署に出す法定調書合計表も要りません。退職所得の源泉徴収票や、報酬・料金の支払調書など、ほかの法定調書を税務署に出す場合は、その法定調書と法定調書合計表を出します。合計表には、実際に税務署へ出す法定調書だけを書きます(国税庁 みなし提出の特例Q&A 問8)
- 退職所得の源泉徴収票は、令和8年分から、役員以外の人に支払った退職手当の分も税務署に出します。居住者に支払った退職手当は、死亡退職の分(相続税法の支払調書を出します)を除き、提出の対象です。提出の期限は退職後1か月以内ですが、令和8年中に退職した人の分をまとめて、2月1日(月)までに出すこともできます(国税庁 法定調書の手引 第1章・第3章)
e-Tax等で出す義務の基準も変わります。前々年(令和7年)に出すべきだった法定調書の枚数が、種類ごとに30枚以上なら、令和9年に出す法定調書はe-Taxなどで出す必要があります(これまでは100枚以上)。給与支払報告書も、前々年に税務署へ出すべきだった源泉徴収票の枚数が30枚以上なら、eLTAX(地方税の電子申告の仕組み)などの電子的な方法で出します。
くわしくは、国税庁の「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(第1章・第2章)で確かめてください。
会社が準備することチェックリスト
11月:改正点と社内の期限を案内する
従業員への案内には、次の3つを入れます。
- 改正点:扶養などの所得要件62万円(新たに扶養親族などに当たる家族がいれば、異動の申告書が必要)、特定親族の範囲、23歳未満の生命保険料特例、兼用様式(4つの申告書を1枚にまとめた様式)の、令和8年分の改正後の金額表
- 社内の提出期限:法令上の期限は、その年最後の給与の前日です。確認にかかる日数を見込んで、それより前に設定します
- 添付する書類:保険料の控除証明書など
回収したら:申告書と添付書類を確かめる
- 各申告書と添付書類がそろっているか(控除証明書などは、提出または提示を受けます。所得税法196条)
- 記載内容(家族の所得と年齢、保険料の金額など)
- 改正で新たに扶養親族(特定扶養親族を含む)に当たる家族がいる人の、異動を書いた扶養控除等申告書(「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」など。国税庁のQ&A Q2-1・Q2-4)
- 国外に住む親族がいる場合は、親族関係書類と送金関係書類
- 年の途中で入社した人が、その年に前の勤務先から給与を受けていたか。前の勤務先に扶養控除等申告書を出して受けた給与があれば、その給与・源泉徴収税額・社会保険料を含めて年末調整します。前の勤務先の源泉徴収票を出してもらい、給与ソフトにも登録します。源泉徴収票で確かめられないときは年末調整ができず、本人が確定申告をします(国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整)
- 年末調整の対象外の人(給与が2,000万円を超える人、災害減免法で源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人、年の途中で退職した人のうち対象にならない人)
- 2年目以降の住宅ローン控除を受ける人の申告書と、金融機関の年末残高等証明書(調書方式の人は不要)
マイナンバー(個人番号)の扱いを確かめる
- 扶養控除等申告書には、本人と家族の個人番号を記載する
- 以前に受け取った扶養控除等申告書などをもとに、本人と家族の氏名・住所・個人番号と、もとにした申告書の名称・提出を受けた年月を記載した帳簿を会社が備えていれば、帳簿に載っている人(本人・家族)の個人番号は申告書への記載を省略できる(氏名や番号が帳簿と異なるときは記載が必要。所得税法198条4項、所得税法施行規則76条の2第5項・第10項、国税庁 マイナンバーFAQ(源泉所得税関係) Q1-3-2・Q1-3-3)
- 従業員から個人番号を受け取るときは、会社が従業員本人の本人確認を行う。扶養控除等申告書に書かれた家族の本人確認は従業員が行うため、会社が行う必要はない(番号法16条、国税庁 マイナンバーFAQ(源泉所得税関係) Q2-1)
- 法律で認められた範囲を超えて、個人番号を集めたり保管したりできない(番号法20条)
生命保険料控除の特例を受ける人は、保険料控除申告書にも23歳未満の扶養親族の個人番号を書きます(変更点4)。ただし、上の帳簿を会社が備えていれば、記載を省略できる場合があります(租税特別措置法41条の15の5第3項)。
12月〜2月1日:精算・納付・提出
- その年最後の給与で、過不足を精算する
- 1月12日(納期の特例は1月20日)までに納める
- 2月1日(月)までに、源泉徴収票を本人に交付し、給与支払報告書(市区町村)を出す。退職所得の源泉徴収票や報酬・料金の支払調書などがあれば、その法定調書と法定調書合計表(税務署)も出す。給与支払報告書を出せば、税務署提出用の源泉徴収票は作らなくてよい(源泉徴収票のみなし提出の特例)
年末調整の後で、扶養親族の数が変わったり、家族の所得の見込みが変わったりすることがあります(アルバイト代が増えて62万円を超えた、など)。従業員には、分かったらすぐに知らせてもらうよう案内してください。会社は、異動の内容を書いた申告書を出してもらい、年末調整をやり直します(扶養親族が増えた場合は、源泉徴収票を作って交付する日までに出してもらいます)。扶養親族が減るなどして税額が不足する場合は、翌年1月末日を過ぎていても、やり直して不足額を徴収します。税額が多すぎた場合で、やり直しをしないときは、本人が確定申告で還付を受けられます(国税庁 No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき)。
申告書を保存する
受け取った申告書は会社で保存し、税務署から求められたときに提出します。保存期間は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間です(所得税法施行規則76条の3)。
たとえば提出期限が令和8年中の申告書なら、令和9年1月11日から7年間です。
紙の配布・回収・転記を減らすなら、クラウド年末調整
毎年の年末調整で手間がかかるのは、申告書を配り、集め、給与ソフトに転記する作業です。
マネーフォワード クラウド年末調整なら、従業員がスマートフォンから申告書を提出し、担当者は画面上で確認して確定します。誰が未提出かが一覧で見えるため、催促もしやすくなります。
控除証明書は、受け取り方で扱いが変わります。申告書をデータで出してもらう場合、保険会社などから電子的控除証明書(XMLデータ)で受け取った分は、データのまま添付でき、書面の原本の回収が要りません。書面で受け取った分は、原本の提出または提示を受ける必要があります(所得税法196条2項)。申告書を書面で出してもらう場合は、会社は控除証明書をデータで受け取れません。従業員がデータで受け取った控除証明書は、e-Taxホームページの「QRコード付証明書等作成システム」で印刷して出してもらいます(国税庁 年末調整手続の電子化に関するFAQ 問3-15)。
操作の流れはマネーフォワード クラウド年末調整の使い方に、給与計算との連携はマネーフォワード クラウド給与の使い方にまとめています。
まとめ
- 令和8年分は、基礎控除(合計所得金額489万円以下は104万円)と給与所得控除(給与収入220万円以下は74万円)の引上げを反映する。11月までの源泉徴収は変わらず、12月にまとめて精算する
- 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は62万円以下(給与収入だけなら136万円以下が目安)。勤労学生は89万円以下。配偶者特別控除は、従業員本人の合計所得金額1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額62万円超133万円以下
- 改正で新たに扶養親族などに当たる家族がいる人には、異動を書いた扶養控除等申告書を年末調整までに出してもらう
- 19歳以上23歳未満で合計所得金額62万円超123万円以下の親族は、特定親族特別控除(最高63万円)。年末調整で受けるには申告書の提出が必要
- 23歳未満の扶養親族がいる人は、一般生命保険料(新契約)の上限が6万円(令和8年分・9年分)
- 申告書は令和8年分の様式を使う(令和7年分と同じく4つの申告書を1枚にまとめた兼用様式で、金額表などが改正後の金額)。12月1日以後の年末調整で使い、前年の記入例を使い回さない
- 12月分の納付は令和9年1月12日(納期の特例は1月20日)。源泉徴収票の本人への交付と給与支払報告書の提出は、2月1日(月)までに(退職所得の源泉徴収票や報酬・料金の支払調書などがあれば、税務署にその法定調書と法定調書合計表も出す)。給与支払報告書を出せば、税務署提出用の源泉徴収票は作らなくてよい
※この記事は、2026年11月時点の法令と国税庁の資料にもとづく一般的な説明です。金額はすべて所得税の基準です。実際の判断にあたっては、税理士にご相談ください。令和8年熊本地震による国税の期限の延長(熊本県八代市・宇土市・宇城市・八代郡氷川町に納税地がある方。延長後の期限は別途告示)は、スケジュールの章の注記と国税庁の案内をご覧ください。給与支払報告書など地方税の期限は、市区町村の案内をご確認ください。
関連記事:マネーフォワード クラウド年末調整の使い方/マネーフォワード クラウド給与の使い方/マネーフォワード クラウドでバックオフィス業務はここまで効率化できる/顧問料の見方と8つの確認項目





