年末調整は、1年で最も短期間に事務作業が集中する業務です。申告書を配って回収し、記載漏れを確認し、控除証明書と突き合わせ、給与ソフトに転記する——この一連の作業を11月から12月に詰め込むことになります。
マネーフォワード クラウド年末調整は、この申告書の配布・回収・転記を電子化するサービスです。この記事では従業員側と担当者側それぞれの流れを整理します。
クラウド年末調整は独立した製品です。マネーフォワード クラウド給与とはボタンひとつで連携できますが、他社の給与計算ソフトを使っていても年末調整業務だけ単体で利用できます。
何ができるサービスか
作成できる帳票は次のとおりです。
- 源泉徴収票
- 給与支払報告書 / 給与支払報告書 総括表
- 扶養控除等申告書(今年分・翌年分)
- 保険料控除申告書
- 基・配・特・所申告書(基礎控除 兼 配偶者控除等 兼 所得金額調整控除申告書)
- 住宅借入金特別控除申告書
- 源泉徴収簿
- 法定調書合計表
クラウド給与とAPI連携すると給与情報を自動取得し、過不足税額をデータ連携できます。
なお源泉徴収票と給与支払報告書の作成機能は2025年10月28日にリリースされたもので、従業員ごとの個別作成に加えて一括作成にも対応しています。
従業員側の流れ:スマホで5ステップ
従業員には提出依頼メールが届きます。そこから先は次の流れです。
ログインして依頼を開く
メールのURLからログインし、「提出する年末調整があります」をクリックします。担当者からのお知らせが表示されます。
5つの項目を入力する
本人情報 → 配偶者情報 → 扶養家族 → 保険 → 住宅ローン の順に入力します。
申告書を確認する
情報確認画面から「申告書の確認へ」に進み、生成された各申告書の内容を確認します。
提出する
「申告書の確認を完了し提出する」にチェックを入れて提出ボタンを押すと、「申告書の提出が完了しました」と表示されます。
スマートフォンでも入力・提出でき、表示内容はPCと同じです。通勤中や自宅から提出できるため、「用紙を家に持ち帰って書いてくる」という待ち時間がなくなります。
各種保険料控除証明書の原本は、従業員から給与担当者に提出してもらう必要があります。入力だけで完結するわけではありません。住宅借入金等特別控除申告書についても、一般的には原本の回収が必要です。
「紙が完全にゼロになる」のではなく、申告書の記入・回収・転記がなくなるとご理解いただくのが正確です。なお保険料控除証明書の入力代行オプションも別途用意されています。
担当者側の流れ:ステータスで進捗を管理する
担当者側は「手続き一覧」を起点に、従業員のステータスを進めていく形で管理します。
事前準備
「事業者」>「申告事業所」画面と「従業員」画面の設定を確認します。
手続きを作成する
「手続き一覧」画面から「年末調整手続きの新規追加」で当年の手続きを作成します。
従業員に依頼する
対象の従業員を「依頼中」ステータスにします。これで提出依頼メールが送られます。
提出を待つ
従業員が提出すると、自動で「未確認」ステータスに移動します。誰が未提出かが一覧で見えるため、催促がしやすくなります。
内容を確認する
「未確認」ステータス画面で申告内容を確認します。控除証明書の原本と突き合わせるのはこの段階です。
還付追徴額を確認する
「確認済」ステータス画面で過不足税額を確認します。
確定する
「確定済」ステータスに変更します。
従業員に配布する
「確定済」画面で対象従業員にチェックを入れ、「配布▼」をクリックします。
帳票を紙で出す場合は「提出準備」画面、他社ソフトで年末調整計算をする場合は「インポート・連携」>「他ソフトで年末調整計算」画面からファイルを出力します。
源泉徴収票の交付
配布後、従業員はクラウド年末調整にログインして左メニューの「源泉徴収票」から閲覧できます。マネーフォワード クラウドのマイページの「配付書類」画面からも確認できます。紙で印刷して渡すこともできます。
電子申告(eLTAX / e-Tax)
システムから直接送信できます。
| 送信先 | 対応帳票 |
|---|---|
| e-Tax(国税) | 源泉徴収票、法定調書合計表 |
| eLTAX(地方税) | 給与支払報告書(総括表)、給与支払報告書(個別明細書) |
画面は「電子証明書一覧」「電子申告準備」「電子申告結果一覧」の3つです。
前提条件は次のとおりです。
- 企業向け機能です(個人事業主は非対応)
- ロールが「全権管理者」「一般管理者」「管理者(代理①)」のいずれかであること
- eLTAX・e-Taxの事前利用登録と、電子証明書の取得・登録が済んでいること
- 「電子証明書一覧」画面に申告者登録名、eLTAXの利用者ID、e-Taxの利用者識別番号を登録すること
- 申告時にe-Taxのパスワード入力が必要
申告結果の確認はe-TaxまたはPCdeskで別途行います。ファイルをエクスポートして提出する方式も併存しています。
電子申告機能は年度ごとにリリースされます。年度の切り替わり直後は当年度分の電子申告が未開放の期間があり得ます。利用時期については公式のお知らせをご確認ください。
つまずきやすいポイント
1. 住宅ローン控除の自動計算には除外条件がある
これが最も相談が多い部分です。次のいずれかに該当すると自動計算の対象外となり、手計算・手入力が必要になります。
| # | 自動計算の対象外となるケース |
|---|---|
| 1 | 借入先の金融機関が3つ以上ある |
| 2 | 借り換えがある |
| 3 | 連帯債務がある |
| 4 | 重複適用(の特例)を受けている |
| 5 | 住宅の居住割合と土地の居住割合が異なる |
| 6 | 申告書の2段階に分かれて金額が記載されている |
| 7 | 旧様式 14欄に取り消し線がある |
| 8 | 【特定増改築等の費用の額】に記載がある |
該当者が1人でもいると、その人だけ別途計算する必要があります。制度の理解が必要な部分なので、税理士に確認いただくのが安全です。
2. 控除証明書の原本回収は残る
前述のとおり、証明書の原本は回収が必要です。「電子化したから紙の回収は不要」と社内に案内してしまうと、後から集め直すことになります。
3. 従業員のログイン情報の設定
従業員がマイページで書類を見るには、管理者側でメールアドレス等のログイン情報を設定しておく必要があります。入社時の手続きに組み込んでおくと年末に慌てません。
4. 給与ソフトとの連携範囲
クラウド給与を使っている場合は給与情報を自動取得できますが、他社ソフトの場合はインポートが必要です。現行年分の給与支払報告書はクラウド給与では作れず、この年末調整側で作成する点も押さえておいてください。
自分でできる範囲と、任せたほうが早い範囲
| 内容 | おすすめ |
|---|---|
| 従業員への依頼・催促 | 会社で運用 |
| 控除証明書の原本回収 | 会社で運用 |
| 申告内容と証明書の突き合わせ | 会社で運用(判断に迷う分は相談) |
| 住宅ローン控除の判定・手計算 | 税理士に相談 |
| 扶養・配偶者控除の判定 | 税理士に相談 |
| 中途入社者の前職分の取り扱い | 税理士に相談 |
| 過不足税額の最終確認 | 税理士(当法人) |
| 法定調書合計表・電子申告 | 税理士(当法人) |
給与計算についてはマネーフォワード クラウド給与の使い方、シリーズ全体の見取り図はマネーフォワード クラウドでバックオフィス業務はここまで効率化できるにまとめています。





