「電子帳簿保存法って、結局何をすればいいの?」「うちみたいな小さい会社でも対応が必要?」「メールで届いた請求書は、印刷して綴じておけばいい?」——顧問先からよくいただくご質問です。
電子帳簿保存法への対応は、書類を電子と紙のどちらでやりとりしたかと、紙原本を残すかどうかで分けると分かりやすくなります。メール、ECサイト、クラウドサービスなどで受け取り、または送った請求書等は「電子取引データ」として電子のまま保存する必要があります。一方、紙で受け取った書類は、従来どおり紙で保存して構いません。紙原本を廃棄したい場合に限り、任意の制度であるスキャナ保存の要件を満たす必要があります。
この記事では、2つの保存ルート——「電子で受け取った・送った書類」と「紙で受け取った・作成した書類」——に分けて、何をすればよいかを整理します。それぞれのルートについて、マネーフォワード クラウド会計・クラウドBoxを使う場合の具体的な手順もまとめました。
電子帳簿保存法の3つの区分
電子帳簿保存法は、税務関係の帳簿・書類を電子データで保存するためのルールで、大きく3つの区分があります。義務なのは3つめだけです。
| 区分 | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| ① 電子帳簿等保存 | 会計ソフトで作成した帳簿・決算書類をデータのまま保存する | 任意(紙で保存してもよい) |
| ② スキャナ保存 | 紙で受け取った請求書・領収書をスキャンして電子保存する | 任意(紙のまま保存してもよい) |
| ③ 電子取引データ保存 | 請求書・領収書などの取引情報を、電子データでやりとりした場合に、データのまま保存する | 義務(2024年1月から、電子取引を行うすべての事業者) |
このうち②と③を、書類を電子と紙のどちらでやりとりしたかで言い換えると、次の2つのルートになります(①の帳簿・決算書類の電子保存は任意で、この記事では扱いません)。
電子で受け取った・送った書類:電子データのまま保存
(法的な制度名:電子取引データ保存。対象者に義務)
電子取引データ保存(③)でよく見落とされるのが、受け取ったものだけでなく、自社が電子データで送ったものも対象になることです。
受け取ったもの
- メールで受信した請求書・見積書・領収書のPDF
- AmazonなどのECサイトで発行される領収書(ダウンロードしたかどうかにかかわらず、サイト上で確認できるようになった時点で対象になります)
- クラウドサービス(Google Workspace、AWSなど)の利用明細
- ペーパーレスFAXで受信したデータ
- デジタルインボイス(Peppol)で受信したデータ
自社が送ったもの
- メールに添付して取引先へ送った請求書・見積書・注文書のPDF
- クラウド請求書サービスから取引先に交付した請求書のデータ
これらは印刷して紙で保存するだけでは、原則として保存したことになりません。 データのまま保存する必要があります。
紙で届いた書類は、これまでどおり紙のまま保存して構いません。 義務があるのは「取引情報を電子データでやりとりした場合」だけです。「すべての書類を電子化しなければならない」という誤解が多いのですが、そうではありません。
保存の要件は「真実性」と「可視性」
電子取引データの保存要件は、真実性の確保(改ざん防止)と可視性の確保(見られる・探せる)の2つに整理できます。
真実性の確保——4つの選択肢(事務処理規程は一律必須ではない)
電子取引データの保存では、事務処理規程の作成が一律に義務付けられているわけではありません。 次の4つ(方法1〜4)のいずれか1つで真実性を確保します。
| 真実性確保の方法 | 訂正・削除防止の事務処理規程 |
|---|---|
| 方法1 タイムスタンプが付されたデータを受け取る | 不要 |
| 方法2 授受(受け取り・送付)の後、期限内にタイムスタンプを付与する | 不要(付与期限を「業務処理サイクル方式」で延長する場合は、別途「各事務の処理に関する規程」が必要) |
| 方法3 訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除できないシステム内で、データの授受と保存を行う(そのシステムに保存したままでよい) | 不要 |
| 方法4 訂正・削除防止の事務処理規程を定め、規程どおり運用する | 必要 |
方法2のタイムスタンプ付与期限は、「速やかに」=授受後(受け取った日・送った日から)おおむね7営業日以内が原則です。自社の業務処理サイクル(最長2か月)を経過した後速やかに付与する方式も認められますが、その場合は授受からタイムスタンプ付与までの「各事務の処理に関する規程」を定めておく必要があり、期限は最長2か月+おおむね7営業日以内になります。
通常のフォルダやGoogle Drive等に保存し、タイムスタンプも訂正・削除履歴が残るシステムも使わない場合は、国税庁のひな形を参考に訂正・削除防止の事務処理規程を作成する方法4が現実的です。一方、後述するマネーフォワード クラウドBoxの対象機能で期限内にタイムスタンプを付与する場合(方法2)は、この訂正・削除防止規程は不要です。選んだ保存方法に応じて、必要な改ざん防止措置を講じる、と考えてください。
履歴が残るシステムで授受したデータは、そのシステムに置いたままで「保存」になります(方法3)。 取引先と同じクラウドサービス(請求書のクラウドサービス、EDI、受発注システムなど)の上で請求書等をやりとりし、そのサービスが利用者側で訂正・削除できない、または訂正・削除の履歴(バージョン管理)をすべて残す仕組みであれば、国税庁の取扱通達(7-6)と一問一答(問39)により、方法3の要件を満たすとされています。この場合、タイムスタンプも訂正・削除防止の事務処理規程も不要で、データをダウンロードして自社のサーバやクラウドBoxへ移す必要もありません(一問一答の問36は「クラウドサービスに領収書等を保存する」「発行者のウェブサイトに領収書等を保存する」を、認められる保存方法として挙げています)。ただし条件が3つあります。①授受と保存の両方をそのシステム内で行うこと——メールで受け取ったPDFを、後から履歴の残るストレージにアップロードするだけでは方法3にはなりません(問43。この場合はタイムスタンプか事務処理規程が必要です)。②取引日・取引先・金額で検索でき、画面表示・出力ができること(可視性の要件はそのまま必要です)。③法定保存期間中ずっとそのシステムで確認できること——サービスの解約・終了や閲覧期限で見られなくなる前に、ダウンロードして要件を満たす形で保存し直します(問45)。
可視性の確保
こちらは検索機能だけではありません。次の2つが必要です。
- 画面表示・書面出力ができる環境 … 税務調査のときに、保存したデータを速やかにディスプレイに表示し、書面に出力できること。プリンタを事務所に常設していなくても、調査の際に近隣の有料プリンタなどで速やかに出力できれば差し支えありません(画面表示に使う機器は必要ですが、保存に使っているスマートフォンで足ります)
- 検索できる状態 … 「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できること。専用システムがなくても、後述するファイル名のルールや、国税庁が作成例を示している索引簿で対応できます
自社開発のシステムで保存する場合は、システムの概要書の備付けも必要です(市販ソフトやクラウドサービスを使う場合は不要です)。
基準期間(2期前)の売上高が5,000万円以下の事業者は、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、検索機能はなくても構いません。 また、売上高にかかわらず、出力した書面を取引年月日・取引先ごとに整理して提示・提出でき、かつデータのダウンロードの求めにも応じられるようにしている場合も、検索機能は不要です。小規模な事業者ほど、実際のハードルは下がっています。
手作業で保存する場合の一例
専用のシステムを使わず、フォルダで保存する場合の一例です。ここでは真実性の確保に方法4(事務処理規程)を使います。
保存フォルダを整備する
電子取引データ専用のフォルダを作り、年・月で整理します。
電子取引データ/
├ 2026年/
│ ├ 01月/
│ ├ 02月/
│ └ …
└ 事務処理規程.pdf
Google DriveやOneDriveなどのクラウドストレージに置けば、社内での共有もバックアップも容易です。ただし共有ドライブに置くだけでは要件を満たしません(Google Workspaceの記事でも触れています)。
ファイル名のルールを決める
検索の要件を満たすために、ファイル名に「取引年月日・金額・取引先」を入れるルールを決めます。
例:20260215_33000_株式会社ABC_請求書.pdf (取引年月日_金額_取引先名_書類種別)
これは国税庁も示している実務的な方法です。原則的な検索要件には日付・金額の範囲指定と2項目以上の組み合わせ検索も含まれますが、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられる運用にしていれば、範囲指定と組み合わせ検索は不要になるため、ファイル名のルールだけで足ります。
訂正・削除防止の事務処理規程を作成する
タイムスタンプも訂正・削除履歴の残るシステムも使わないこの方法では、改ざん防止の措置として事務処理規程を使います。国税庁が公開しているひな形(法人用・個人事業者用)を自社に合わせて手直しすれば足ります。責任者、保存場所とファイル名のルール、訂正・削除するときの手続きを定め、従業員に周知して運用します。
電子取引データをマネーフォワード クラウド会計・クラウドBoxで保存する場合の手順
マネーフォワード クラウド会計の証憑添付等を利用すると、ファイルは連携するマネーフォワード クラウドBoxへ保存されます。対象機能では保存時にタイムスタンプが付与され(真実性の確保の方法2)、取引日・取引先・金額による検索にも対応できます。ただし、対象機能の選択、電帳法の区分、保存期限、検索項目は利用者自身で確認する必要があります。「ソフトを契約しただけ」では対応したことにはなりません。
証憑ファイルの保存先はクラウド会計そのものではなくクラウドBoxである、という役割分担を押さえたうえで、次のチェックリストをご利用ください。
A. 最初に行う設定・運用設計
- 利用中のプランでクラウドBoxの保存上限を確認する。ひとり法人プラン・スモールビジネスプラン(法人)とパーソナルミニプラン(個人)は1,000ファイルまで、ビジネスプラン・パーソナルプラン・パーソナルプラスプランは無制限(2026年8月時点)
- 電子的に授受する書類の経路を一覧化する。例:メール、AmazonなどのECサイト、各種SaaS、ペーパーレスFAX、デジタルインボイス(受領)、マネーフォワード クラウド請求書からの送付(交付)
- 経路ごとに、クラウドBoxへの保存方法を決める。例:アップロード、メール取込、クラウド会計の証憑添付、AI-OCRから入力、証憑自動取得
- AI-OCRは文字読取・仕訳候補作成の入力支援機能で、電子帳簿保存法対応の必須機能ではない。契約プランによる件数上限・従量課金は、法令要件とは分けて確認する
- 保存担当者と確認担当者を決める
- 「授受後おおむね7営業日以内に保存する」運用にするか、「各事務の処理に関する規程」を作成して最長2か月+おおむね7営業日以内とするかを決める
- 取引日・取引先・金額で検索できること、画面表示・ダウンロード・書面出力ができることをテストする
- サービス解約・事業者削除時のデータ取得方法を確認しておく。事業者を削除すると保存データを失う可能性があるため、安易に削除しない
B. メール・ECサイト等で電子データを受け取ったとき
- 元のPDF・画像・CSV等を消さずに取得する。メール本文に取引条件がある場合はメール本文も保存対象になるため、あわせて保存する
- 次のいずれかの対象機能でクラウドBoxへ保存する。これらの機能で保存したファイルにタイムスタンプが付与されます(ただし「アップロード」は「電子帳簿保存法」を「対象とする」にした場合、「AI-OCRから入力」は「[電子取引]メールや電子データで受領したもの」を選択した場合に限ります)
- クラウドBoxの「アップロード」
- クラウドBoxの「メール取込」(添付ファイルのみ・最初の1ファイルのみ保存。下の注意を参照)
- クラウド会計・確定申告の「証憑添付」
- 「AI-OCRから入力」
- 「証憑自動取得」
- 手動アップロード時は「電子帳簿保存法」を「対象とする」にし、電帳法区分で「電子取引データ保存(メールや電子で授受)」を選択する
- タイムスタンプ方式を利用する場合は、授受後おおむね7営業日以内に保存する(ECサイト・SaaSの「授受の時点」は下の注意を参照)。期限を最長2か月+おおむね7営業日以内に延長する場合は「各事務の処理に関する規程」を作成・運用する
- クラウド会計の「証憑添付」を利用する場合は、仕訳の摘要欄に取引先名を入力する。クラウドBoxでは仕訳の摘要が「取引先」として連携されるためです
- 保存後、クラウドBoxのファイル詳細(または連携された仕訳)で、電帳法区分、タイムスタンプ、取引日・取引先・金額を確認する。クラウド会計側で「スキャナ保存機能を利用する」を有効にしている場合、「証憑添付」で保存したファイルの電帳法区分は「区分未設定」になるため、クラウドBoxのファイル詳細画面で「電子取引データ保存」に変更する
「メール取込」は添付ファイルだけを保存し、メール本文は保存しません。 複数のファイルが添付されたメールでは、最初に添付された1ファイルだけが保存されます(メール1通あたり25MBまで)。メール本文に支払条件などの取引情報が書かれている場合は、本文をPDF等の内容を変えない形式にして別途アップロードし、複数の添付ファイルは1件ずつ個別に保存してください。また、メール取込で保存したファイルは取引日・取引先・金額が空欄になるため、取込後にファイル詳細画面で入力・確認します。
ECサイト・SaaSの領収書等は、原則として「サイト上で確認できるようになった時点」が授受の時点です。 ダウンロードした日ではありません。国税庁は、サイト上で確認できる状態になったことを、郵送された書面が郵便受けに投函された状態と同視できるとしています(確認できるようになったことがメール等で通知されない場合は、適宜のタイミングで保存して差し支えないとされています)。月末にまとめてダウンロードする運用では方法2のタイムスタンプ期限(おおむね7営業日)を超えやすいので、都度クラウドBoxへ取り込むか、「各事務の処理に関する規程」を作成・運用して最長2か月+おおむね7営業日以内に延長してください。なお、ECサイト側で法定保存期間中いつでも確認でき、真実性・検索の要件を満たしている場合は、必ずしもダウンロードして保存しなくてよいとされていますが、サイトの閲覧期限やサービス終了のリスクを考えると、実務上はクラウドBoxへ集約する方が安全です。
C. 電子データで請求書等を送ったとき
- 相手に実際に送った最終版を保存する。作成途中のファイルだけでは足りません
- マネーフォワード クラウド請求書のメール送信、デジタルインボイス送信、PDF出力等でクラウドBoxに保存される場合は、自動保存されたファイルの電帳法区分を確認する(PDF出力・郵送代行で保存されたファイルの区分は「電子帳簿等保存」になり、電子取引データ保存にはなりません)
- マネーフォワード クラウド請求書以外(自社のメール添付等)で送った場合は、送信した最終版をクラウドBoxへ手動保存する
- タイムスタンプ方式を利用する場合は、送付後おおむね7営業日以内にクラウドBoxへ保存する(延長する場合は「各事務の処理に関する規程」を作成・運用し、最長2か月+おおむね7営業日以内)
- 訂正して再交付した場合は、旧版を削除せず、新旧両方を保存する
D. 月次で行う確認
- メール、ECサイト、SaaS、ペーパーレスFAX等の受領・送付一覧と、クラウドBoxの保存件数を照合する
- 「区分未設定」「電帳法対象外」など、誤った区分のファイルがないか確認する
- 取引日・取引先・金額が空欄のファイルを確認する
- 任意のファイルを、取引日・取引先・金額で検索できるかテストする
- タイムスタンプが付与されていることを確認する。必要に応じてタイムスタンプの一括検証を行う
- 契約プランの保存上限に近づいていないか確認する
マネーフォワード利用者にとっての規程の要否
マネーフォワード クラウドBoxの対象機能で、授受後おおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与して保存する場合、訂正・削除防止の事務処理規程は不要です。ただし、保存までの期間を最長2か月+おおむね7営業日以内へ延長する場合は「各事務の処理に関する規程」が必要です。マネーフォワードがサンプルを提供しています。
紙で受け取った・作成した書類:紙で保存、または要件を満たしてスキャナ保存
紙で受け取った請求書・領収書、紙で作成した控えは、従来どおり紙で保存すれば足ります。 電子化の義務はありません。
紙原本を廃棄したい場合に限り、任意の制度であるスキャナ保存の要件を満たす必要があります。電子取引データ保存とは別の制度で、必要な規程も手順も別です。「クラウドBoxにアップロードすれば自動的に紙を捨てられる」わけではありません。設定、規程、読み取り品質、入力期限、帳簿との関連付け、廃棄前の確認まで行って初めて、紙保存に代えることができます。
紙を捨てるかどうかは、書類の種類・業務の単位ごとに選べます
スキャナ保存は「全社で一斉に紙をやめるか、全部残すか」の二択ではありません。書類の種類ごと(合理的に区分できる単位ごと)に、紙原本を廃棄するかどうかを選べます。 立替経費の領収書のように業務の単位で合理的に区分できる場合も同様です。社内規程で対象とする書類・業務を定めておけば、対象外の書類は従来どおり紙で保存して構いません。スキャナ保存を始めた日(紙保存に代えた日)は明確にしておきます。
たとえば、従業員の立替経費の領収書だけをマネーフォワード クラウド経費の電子帳簿保存法対応でスキャナ保存にし、取引先からの請求書や契約書は紙のまま保存する、という組み合わせが可能です。なお、クラウド経費の電子帳簿保存法機能は、中小企業向けのラインナップでは「コーポレートプラン」「エンタープライズプラン」の有料オプションで提供されており、ひとり法人・スモールビジネス・ビジネスの各プランに標準で付く「チームプラン」のままでは利用できません(オプションを追加して利用します)。枚数が多く、従業員が持ち歩く領収書から先に紙をなくすと、対象範囲が限定される割に効果を実感しやすいので、最初の一歩として現実的です。クラウド経費のオプションを追加しない場合は、次に示すクラウドBoxのスキャナ保存で対応します。
逆に、対象にした書類・業務については、後述の入力期限・読み取り品質・廃棄前確認を毎回守る必要があります。「どの書類を、どのシステムで、誰が」スキャナ保存するのかを規程と運用で決めてから始めてください。
紙原本を廃棄する場合の手順(マネーフォワード クラウドBoxを使う例)
導入前
- スキャナ保存の対象書類と対象外書類を決める。請求書・領収書・契約書等は対象になり得るが、貸借対照表・損益計算書・棚卸表等の決算関係書類は対象外
- 必要な規程・書類を整備する(国税庁がサンプルを公開しています)。法令上の要否と、クラウドBoxを使うための準備は分けて押さえてください
- 「国税関係書類に係る電子計算機処理に関する事務の手続を明らかにした書類」(責任者・入力の順序・方法などを定めた手続書類)…スキャナ保存をする場合に、入力方式を問わず備付けが必要な書類です(一般書類を適時に入力する場合や過去分の重要書類をスキャナ保存する場合も、責任者を定めたこの手続書類の備付けが要件になります)
- 「スキャナによる電子化保存規程」(対象書類・入力の時期・責任者などを定める規程。法令上の「各事務の処理に関する規程」にあたります)…法令上は、重要書類を業務処理サイクル方式(最長2か月+おおむね7営業日以内)で入力する場合に必要です。作成または受領後おおむね7営業日以内に入力する方式だけで運用するなら、法令上の必須要件ではありません
- クラウドBoxでスキャナ保存を「設定中」にする際は、マネーフォワードの現行の案内上、上の2種類を事前に作成しておくことになっています(既に作成済みなら新たに作る必要はありません)
- クラウドBoxの「設定」→「電子帳簿保存法」で、スキャナ保存を「設定中」にする
- クラウド会計側の事業者設定に「スキャナ保存機能を利用する」が表示される場合は有効にする
- 重要書類(契約書・領収書・請求書など)は、クラウド会計の仕訳に証憑添付して帳簿との相互関連性を確保する運用を決める
- 200dpi以上、重要書類はカラーで読み取れる機器・方法を確認する(見積書などの一般書類はグレースケールも可)。スマートフォンで撮影する場合は必要な画素数を確認する
- カラーディスプレイ、カラープリンタ等の見読可能装置を確認する
紙の書類を作成・受領した後
- 入力期限内に、紙の両面を漏れなく読み取り、クラウドBoxへのアップロード(タイムスタンプ付与)まで済ませる。 期限は書類の種類で異なります
- 重要書類(契約書・領収書・請求書・納品書など)…作成または受領後おおむね7営業日以内。「各事務の処理に関する規程」を定めて業務処理サイクル方式を採る場合は、最長2か月+おおむね7営業日以内
- 一般書類(見積書・注文書とその写し、自社が作成した納品書の写しなど、国税庁告示で定められた書類)…この入力期限の制限はなく、適時に入力できます(上の期限を過ぎてから読み取る場合は、正しく読み取れたことを確認した都度タイムスタンプを付与します)。ただし、責任者を定めた「事務の手続を明らかにした書類」の備付けと、画質・タイムスタンプ・検索・表示等の要件は同じように必要です
- アップロード時に「スキャナ保存(紙で授受)」を選択する
- タイムスタンプが付与されたこと、解像度・カラー等の判定に問題がないことを確認する
- クラウド会計の該当仕訳へ証憑を添付する
- 取引日・取引先・金額を確認する
- 紙と画像を比較し、折れ・欠け・裏面の読み取り漏れ・文字切れ・不鮮明な箇所がないことを確認する
- 入力期限、スキャン要件、検索・表示要件等を満たしていることを確認した後に限り、紙原本を廃棄する
- 入力期限を過ぎた重要書類、要件を満たさない書類、システムのサポート対象外の書類は、紙原本も保存する
「紙を捨ててよい」のは、電子帳簿保存法(税法)上の保存義務についての話です。 契約上・他の法令上・訴訟や証拠保全上の理由で原本の保管が必要な書類は、別途紙で保存してください。収入印紙を貼った文書について印紙税の過誤納還付を受ける可能性がある場合も、原本(紙)の提示が必要になるため残しておきます。なお、自社が作成した見積書・請求書などは、その控え(写し)がスキャナ保存の対象です。
どうしても対応できない場合の猶予措置
「システムを入れる資金がない」「人手が足りず社内の仕組みづくりが間に合わない」など、要件どおりに保存できないことについて相当の理由があると税務署長が認める場合は、猶予措置があります。事前の申請は不要で、税務調査の際に次の両方に応じられることが条件です。
- 電子取引データのダウンロードの求めに応じられること
- そのデータを印刷した書面の提示・提出の求めに応じられること
この両方ができれば、改ざん防止や検索の要件を満たしていなくても、ひとまずデータを保存しておくだけで認められます。
ただしこれは「対応しなくてよい」という意味ではなく、データ自体の保存(捨てない・消さない)は必要です。
対応しないとどうなるか
よく「青色申告が取り消される」と言われますが、国税庁は、保存要件を満たしていないことをもってただちに青色申告の承認取消しや、経費として認めないといった扱いにはならない(取引が正しく記帳・申告に反映され、内容が他の資料からも確認できることが前提で、違反の程度等を総合的に判断する)と明らかにしています。ただし、相当の理由なく要件を満たさない保存が続けば承認取消しの対象になり得るとも示しているので、対応そのものは必要です。過度に恐れる必要はありませんが、放置してよいわけでもありません。
一方で、電子取引データを改ざん・隠蔽して申告した場合は、重加算税が通常より10%上乗せされます。また、保存すべきデータが残っていないと、税務調査で取引の説明に手間取り、余計な疑いを招くことにもなります。「罰則があるから」ではなく、自社の記録を守るための対応と考えるのが実態に合っています。
よくあるご質問
Q. 個人事業主も対象ですか。
はい。法人・個人事業主を問わず、電子取引を行うすべての事業者が対象です。フリーランスの方がネットで買った消耗品の領収書も対象になります。
Q. 電子データと紙、両方で同じ請求書を受け取った場合はどうなりますか。
書面と電子データの内容が完全に同じで、どちらを正本として扱うかを社内で決めている場合は、正本とした一方の保存で足ります。ただし、メール本文などに支払条件のような書面を補う取引情報が含まれている場合は、その電子データも保存してください。
Q. 取引先とクラウドサービス上で請求書をやりとりしています。ダウンロードして自社でも保存し直す必要がありますか。
そのサービス上で授受と保存の両方を行っていて、利用者側で訂正・削除ができない、または訂正・削除の履歴がすべて残る仕組みであれば、ダウンロードして保存し直す必要はありません(真実性の確保の方法3。取扱通達7-6、一問一答 問36・39)。取引日・取引先・金額で検索・表示できることと、法定保存期間中ずっとそのサービスで確認できることが条件です。見られなくなる前にはダウンロードして保存し直してください。詳しくは上の「真実性の確保」の囲みをご覧ください。
Q. 保存期間はどれくらいですか。
電子帳簿保存法が独自に定めているのではなく、そのデータに対応する書類について所得税法・法人税法・消費税法などで定められた期間に従います。
- 法人 … 原則7年(一定の欠損金が生じた事業年度は10年)
- 個人事業主 … 書類の種類や青色・白色申告の区分により5年または7年
- インボイス(適格請求書等)として保存するもの … 7年
クラウドストレージやクラウドBoxに置く場合は、解約や事業者削除の際にデータを失わないよう注意してください(クラウドBoxは有償プランを解約しても保存済みファイルの閲覧・ダウンロードはできますが、事業者を削除すると保存データを失う可能性があります)。
保存方法別チェックリスト
保存方法を問わず共通(電子取引データ)
- 電子的に受領・交付した書類の経路を洗い出す(受け取ったものだけでなく、自社が送ったものも)
- 元の電子データを保存対象から漏らさない(印刷して紙で保存するだけでは不可)
- 選んだ保存方法に応じて真実性を確保する(タイムスタンプ付き受領/期限内タイムスタンプ付与/訂正・削除履歴の残るシステム/訂正・削除防止規程のいずれか)
- 取引日・取引先・金額で検索でき、画面表示・書面出力できる状態にする
フォルダで手作業保存する場合 … 保存フォルダ・ファイル名ルール・訂正・削除防止の事務処理規程
取引先とクラウドサービス・EDI上で授受し、そこに保存したままにする場合 … 利用者側で訂正・削除できない(または履歴がすべて残る)仕組みか・授受も同じシステム内か・検索と表示ができるか・法定保存期間中ずっと確認できるか(見られなくなる前にダウンロード)
マネーフォワード クラウドBoxで保存する場合 … 対象機能で保存・区分の指定・授受後おおむね7営業日以内(延長するなら各事務の処理に関する規程)・取引日・取引先・金額の確認
紙原本を廃棄したい場合(スキャナ保存) … 対象にする書類・業務の決定(立替経費だけなど、部分的な適用も可)・事務手続書類(業務処理サイクル方式なら各事務の処理に関する規程も)・機器要件・入力期限(重要書類は作成または受領後おおむね7営業日以内)・帳簿との関連付け・廃棄前の確認
主な参照資料
国税庁
- 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(2026年7月版・PDF) … 真実性確保の4つの方法、タイムスタンプの付与期限、認められる保存方法(問36)、履歴が残るシステムの例(問39)、保存だけでは方法3にならないこと(問43)、ECサイトの授受時点(問44・45)、検索要件の特例、猶予措置
- 電子帳簿保存法取扱通達(令和7年6月27日付一部改正分まで・PDF) … 7-4「速やかに」=おおむね7営業日、7-5 業務の処理に係る通常の期間、7-6 訂正削除の履歴が残る・訂正削除できないシステムの例示、7-7 事務処理規程の内容
- 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】(2026年7月版・PDF) … 要件一覧(問10)、入力期限、一般書類の適時入力(問47〜49)、2種類の規程・書類の違い(問53)、紙の廃棄と収入印紙(問3)
- 電子帳簿保存法一問一答(Q&A)一覧・参考資料(各種規程等のサンプル)・電子帳簿等保存制度特設サイト
マネーフォワード クラウド(公式サポート)
- クラウドBox 電子帳簿保存法への対応について・「電子帳簿保存法」画面の使い方(スキャナ保存の設定と事前準備)
- どのような操作をしたらファイルにタイムスタンプが付与されますか?・「アップロード」機能の使い方・「メール取込」機能の使い方(本文非保存・最初の1ファイルのみ)
- ファイルの詳細画面について(電帳法区分)・「電帳法区分」の変更可否・クラウドBoxを利用するために必要な契約(保存件数・解約後の取扱い)
- クラウド会計「証憑添付」機能の使い方・「電子取引データ保存」に対応するために必要な設定・操作・「スキャナ保存」に対応するために必要な設定・操作
- クラウド請求書からクラウドBoxへファイルを連携する方法・クラウド経費 プランについて(電子帳簿保存法対応オプション)
※この記事は2026年8月時点の法令・国税庁「電子帳簿保存法一問一答」(2026年7月版)およびマネーフォワード クラウド(クラウドBox・クラウド会計・クラウド経費)のヘルプ・料金案内にもとづいています。マネーフォワードの機能・プランは変わることがあるため、最新の内容は上の公式サポートでご確認ください。





