「会社を辞めて、来月から個人で事業を始める」「開業届は出したけれど、ほかに何が必要か分からない」——開業を控えた方から、よくいただくご相談です。
個人事業の手続きは、税務署・熊本県・市区町村と出し先が分かれ、それぞれ期限があります。しかも2026年1月1日以後の開業から、開業届の期限が変わりました。 期限が延びた書類がある一方で、短いまま残っている書類もあるため、順番を間違えると青色申告などの制度をその年に使えなくなります。
この記事では、熊本で個人事業を始めるときの届出を、出し先ごとに、期限とあわせて整理します。会社(法人)として始めるか迷っている方は、法人成りの判断材料をまとめた記事(近日公開)もあわせてご覧ください。
開業したら出す書類の一覧
| 提出先 | 書類 | 期限 | 出す人 |
|---|---|---|---|
| 税務署 | 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 開業した年分の確定申告期限まで | 事業を始めた人 |
| 税務署 | 所得税の青色申告承認申請書 | 開業日から2か月以内(1月15日までの開業は3月15日まで) | 青色申告をする人 |
| 税務署 | 青色事業専従者給与に関する届出書 | 開業日から2か月以内(同上)。開業後に家族が専従者になった場合は、その日から2か月以内 | 青色申告をする人で、生計を一にする家族(専従者)に給与を払って経費にする人 |
| 税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設から1か月以内 | 人を雇う・家族に給与を払う人 |
| 税務署 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 期限なし(原則として、出した月の翌月に支払う給与から適用) | 給与を払う人数が常時10人未満で、納付を年2回にまとめたい人 |
| 税務署 | 適格請求書発行事業者の登録申請書 | 登録は任意。開業した年の1月1日から登録を受けるなら、その年の12月31日まで(年末の閉庁日でも延びない) | インボイスを発行したい人(1月1日からの登録は、新たに事業を始めた人に限る) |
| 税務署 | 消費税簡易課税制度選択届出書 | 開業した年の12月31日まで | 開業した年から簡易課税を選ぶ人 |
| 熊本県 | 個人の事業開始等届出書 | 事業を始めた日から10日以内 | 事業を始めた人 |
| 熊本市 | 償却資産申告書 | 毎年1月31日まで(1月1日時点の資産) | 事業用の償却資産を持つ人 |
| 労働基準監督署 | 労働保険の保険関係成立届 | 保険関係が成立した日(最初に人を雇った日)から10日以内 | 従業員を雇う人(同居の親族だけの場合を除く) |
| 区役所など | 国民健康保険の加入(任意継続を選ばない場合)・国民年金への切り替え(20歳以上60歳未満の方。厚生年金に加入している配偶者の扶養に入る場合は配偶者の勤務先を通じて届け出る。期限は「6. 会社員を辞めて開業する方の健康保険・年金」をご覧ください) | 退職日の翌日から14日以内 | 会社員を辞めて開業した人 |
| 協会けんぽ・健康保険組合 | 健康保険の任意継続(国民健康保険の代わりに選ぶ場合) | 資格を失った日(退職日の翌日)から20日以内 | 会社員を辞めて開業した人 |
開業届の期限は、所得税法の改正(令和5年度税制改正)により、2026年1月1日以後の開業から「開業した年分の確定申告期限まで」になりました(国税庁の案内)。2025年12月31日以前の開業は、改正前のとおり開業から1か月以内でした(所得税法等の一部を改正する法律〔令和5年法律第3号〕附則第10条)。
開業届の期限が延びても、青色申告の申請(2か月以内)、給与支払事務所等の開設届(1か月以内)、熊本県への届出(10日以内)は短いままです。 開業届を後回しにすると、ほかの書類も出し忘れやすくなります。開業したら、まとめて出してください。八代市・宇土市・宇城市・氷川町の方は、令和8年熊本地震により、2026年7月28日以後に期限が来る国税・県税の届出・申請の期限が延長されています(記事末尾の注記をご覧ください)。
1. 税務署への開業届
出し先は、納税地(個人は原則として住所地)を所轄する税務署です。 熊本市の場合、中央区・西区・南区・北区は熊本西税務署、東区は熊本東税務署が担当です(熊本西税務署・熊本東税務署)。開業届は、事務所の場所が住所と違っても、納税地の税務署に出せば足ります。ただし、人を雇う・家族に給与を払うときの「給与支払事務所等の開設届出書」と「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」は、給与の支払事務を行う事務所の所在地の税務署に出します(「3. 人を雇う・家族に給与を払うとき」をご覧ください)。
出し方は3つあります。
- e-Tax で送る
- 税務署の窓口へ持参する
- 郵送する。熊本西税務署・熊本東税務署あての書面は、熊本国税局業務センター(〒862-8721 熊本市東区東本町16番28号)へ送ります(業務センターの案内)
書類を作る手間を減らしたい場合は、マネーフォワード クラウド開業届を無料で使えます。開業届のほか、青色申告承認申請書、青色事業専従者給与に関する届出書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の申請書もまとめて作れます。インボイスの登録申請書など消費税の届出は含まれません。
2. 青色申告の承認申請
青色申告にすると、青色申告特別控除などの特典を受けられます。複式簿記で記帳できるなら、多くの場合は青色申告が有利です。申請の期限は、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内、1月15日までに開業した場合はその年の3月15日までです。期限を過ぎると、その年は青色申告にできません(国税庁の案内)。
承認の通知が届かなくても、原則としてその年の12月31日まで(11月1日以後に開業した場合は翌年2月15日まで)に却下されなければ、承認されたものとみなされます。
青色申告特別控除の額は、2027年分から変わります(国税庁「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」・国税庁 No.2072)。
| 申告の方法 | 2026年分 | 2027年分から |
|---|---|---|
| 複式簿記で記帳し、書面で期限内に申告 | 55万円(仕訳帳・総勘定元帳を優良な電子帳簿で保存し、確定申告期限までに届出書を出せば65万円) | 10万円 |
| 複式簿記で記帳し、e-Taxで期限内に申告 | 65万円 | 65万円 |
| e-Taxでの申告に加えて、仕訳帳・総勘定元帳を優良な電子帳簿などで保存し、届出書を出す | 65万円 | 75万円 |
| 簡易な帳簿で記帳 | 10万円 | 10万円(前々年分の事業所得の収入金額、または事業的規模の不動産所得の収入金額のどちらかが1,000万円を超える年は0円) |
2027年分から75万円の控除を受けるには、65万円の要件(複式簿記での記帳と、貸借対照表・損益計算書を付けたe-Taxでの期限内の申告)に加えて、次の2つが必要です。1つ目は、仕訳帳と総勘定元帳を最初の記帳から一貫して電子データで付け、次のどちらかを満たすことです。①訂正・削除の履歴が残り、帳簿どうしの関連が確認でき、日付・金額・取引先で検索できる「優良な電子帳簿」として保存する。②国税庁長官が定める基準に合うシステムで、デジタルインボイスや預貯金口座の決済データなどの電子取引データを保存する(デジタルシームレス保存)。2つ目は、確定申告期限までに所轄の税務署へ届出書を出すことです。年の途中で紙の帳簿から切り替えた年や、届出書を出していない年は、65万円までになります(国税庁「75万円の青色申告特別控除を受けるためには」)。
55万円以上の控除には、複式簿記での記帳と、貸借対照表・損益計算書を付けた期限内の申告が必要です。期限に遅れると、その年は10万円になります。クラウド会計では、銀行・カードの明細を取り込み、ご自身(または依頼先)が内容を確認して仕訳を登録すると、複式簿記の帳簿と貸借対照表・損益計算書が作られます。減価償却や家事按分などの決算の整理にも入力と確認が必要ですが、確定申告書と青色申告決算書のデータを期限内にe-Taxで送信すれば、65万円の要件を満たしやすくなります。
家族に給与を払う場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」も、開業日から2か月以内(1月15日までの開業は3月15日まで)に出します。開業後に新たに家族が専従者になった場合は、専従者になった日から2か月以内です。届け出た後で専従者が増える場合や給与を増やす場合は、変更届出書を遅滞なく出します(国税庁の案内)。専従者の対象は、生計を一にする(生活費を共にしている)配偶者やその他の親族で、その年の12月31日に15歳以上であり、その年を通じて6か月を超える期間(開業した年などは、事業に従事できる期間の2分の1を超える期間)専らその事業に従事する方です(国税庁 No.2075)。
白色申告の場合はこの届出書を出さず、確定申告書に書いて事業専従者控除(配偶者は最高86万円、その他の親族は1人最高50万円)を受けます。青色申告の専従者としてその年に一度でも給与を受けた方は、その年は配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除の対象になりません。白色申告の場合は、給与を払ったかどうかにかかわらず、事業専従者に当たる家族(事業専従者控除の対象になる方)は、これらの控除の対象になりません(国税庁 No.2075・国税庁 No.1195・国税庁 No.1177)。青色申告で家族に給与を払うかどうかは、給与を経費にできる額と、なくなる控除の額を比べて決めてください。
→ 青色申告を含む節税の制度は、個人事業主の節税ポイントで整理しています。
3. 人を雇う・家族に給与を払うとき
青色申告をする方が家族(専従者)に給与を払う場合の「青色事業専従者給与に関する届出書」は、「2. 青色申告の承認申請」で説明したとおり、開業日から2か月以内に出します。
給与を払う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」を開設から1か月以内に、事務所の所在地の税務署へ出します。2026年1月1日以後の開設からは、開業届を出す場合でも、この届出書が別に必要です(所得税法第230条の改正。国税庁の案内)。
給与を払う人数が常時10人未満なら、源泉所得税の納期の特例の承認を申請できます。承認を受けると、給与・退職金と、税理士・弁護士・司法書士などへの報酬から源泉徴収(支払うときに所得税を差し引き、支払った側がまとめて納めるしくみ)した所得税を、1〜6月に支払った分は7月10日、7〜12月に支払った分は翌年1月20日の年2回にまとめて納められます。申請書を出す時期は決まっていませんが、特例が使えるのは原則として出した月の翌月に支払う給与からで、さかのぼっては使えません。それまでに支払った給与の源泉所得税は、支払った月の翌月10日までに納めます(例:2月に出した場合、2月支給分は3月10日まで、3〜6月支給分は7月10日まで)。最初の給与から特例を使いたい場合は、最初の給与を支払う月の前月までに、給与支払事務所等の開設届出書と一緒に出しておきます。
なお、給与を払う個人事業主は、デザイン料・原稿料などの報酬を払うときにも源泉徴収が必要です。これらは特例の対象外で、支払った月の翌月10日までに納めます(国税庁の案内・国税庁 No.2505・国税庁 No.2502)。
同居の親族以外の従業員を雇うと、原則として労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きが必要です。届出の義務は事業主にあり、事業主ご自身でも手続きできます。期限は税務署への届出より短いものがあります。
- 労働保険の保険関係成立届:保険関係が成立した日(最初に人を雇った日)から10日以内に労働基準監督署へ出します。概算保険料の申告・納付は50日以内です(労働保険徴収法第4条の2・第15条)
- 雇用保険:週20時間以上働き、31日以上雇う見込みの人を雇ったときは、ハローワークへ出します。適用事業所設置届は設置の日の翌日から10日以内、被保険者資格取得届は雇った月の翌月10日までです(雇用保険法施行規則第6条・第141条)
- 健康保険・厚生年金保険:個人事業では、法律で定める業種で常時5人以上を雇う事業所が対象です。該当した日から5日以内に、新規適用届を日本年金機構へ出します(日本年金機構「新規適用の手続き」)
同居の親族だけに給与を払う場合は、原則としてこれらの対象外です。これらの手続きの代行は、原則として社会保険労務士が担当する業務です。当法人ではお受けしていません。
4. 熊本県・熊本市への届出(個人事業税・償却資産)
事業を始めた日から10日以内に、「個人の事業開始等届出書」を熊本県へ出します。 出し先は住所ではなく、事務所の所在地を担当する広域本部(県税などを扱う熊本県の地域ごとの出先機関)です。熊本市(宇土市・宇城市・下益城郡・上益城郡も同じ)に事務所がある場合は、県央広域本部 総務部 課税第一課(熊本市中央区水前寺6丁目18-1 県庁行政棟新館1階)です。電子申請(LoGoフォーム)でも出せます(熊本県の案内・様式)。
毎年の個人事業税の申告は、所得税の確定申告をしていれば別に出す必要はなく、確定申告書の第二表「事業税に関する事項」に記入します。個人事業税は、法律で定める業種(第一種〜第三種)の事業にかかり、事業主控除(年290万円。開業した年は月割り)を差し引いた所得に、業種に応じて5%・4%・3%の税率で課税されます。年税額が1万円を超える場合は、8月と11月の2回に分けて納めます。青色申告特別控除は、個人事業税の計算では差し引かれません。
熊本市の案内では、所得税の確定申告をした方は、市民税・県民税の申告は不要とされています(熊本市の案内)。
熊本市へ開業そのものを届け出る手続きは、原則としてありません。ただし、毎年1月1日時点で熊本市内に事業用の償却資産(パソコン・備品・機械など)を持っている方は、1月31日(土曜日・休日の場合は翌開庁日)までに、熊本市の固定資産税課 償却資産班へ償却資産の申告をします(eLTAXでも出せます)。取得価額10万円未満で一度に経費にしたもの、20万円未満で3年間で均等に経費にしたもの(一括償却資産)、自動車税・軽自動車税の対象になるものは対象外です。青色申告の少額減価償却資産の特例(2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満、それより前に取得したものは30万円未満)で一度に経費にしたものは対象です。資産の増減が無い場合や、課税標準額の合計が150万円未満で固定資産税がかからない場合も、申告が求められています(熊本市「償却資産の申告について」)。
5. インボイス登録は必要か
インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は任意です。 判断の目安は、取引先です。
- 取引先が事業者(会社など)中心なら、インボイスを求められることが多く、登録を検討します
- お客様が一般の消費者中心なら、急いで登録しなくてよい場合があります
登録しない場合、取引先があなたからの仕入れについて控除できる消費税は、2026年10月から2028年9月までは7割に限られます。取引先の負担が増えるため、取引条件の相談を受けることがあります(詳しくはインボイスの経過措置は2026年10月から7割に)。
消費税の上で新たに事業を始めた年のうちに登録申請書を出せば、その年の1月1日にさかのぼって登録を受けられます。 個人の消費税の課税期間(税額を計算する期間)は暦年(1月1日〜12月31日)のため、登録日は開業日ではなく1月1日になります(実際に申告の対象になるのは、開業日以後の取引です)。申請書では「事業を開始した課税期間の初日から登録を受けようとする事業者」を選びます。書面で出す場合の郵送先は、開業届と同じ熊本国税局業務センター(〒862-8721 熊本市東区東本町16番28号)です。このほか、提出日から15日以後の日を登録希望日として指定する方法もあります(国税庁「新規開業者向けページ」)。
ここでいう「新たに事業を始めた」かどうかは、開業届の日付ではなく、消費税のかかる取引を始めたかどうかで判定します。開業した年の前年・前々年に、会社員時代の副業などで消費税のかかる売上げや事業の仕入れがあった方は、業種を変えて独立しても、新たに事業を始めたことになりません。前年のうちに事務所の賃貸契約や備品の購入などの開業準備をした方も、準備をした年に事業を始めたものとされます。これらの方は1月1日にさかのぼれず、申請書の提出日から15日以後の登録希望日からの登録になります。登録日より前に出した請求書はインボイスにならないため、早めに申請してください。
申請の期限の12月31日は、年末の閉庁日(12月29日〜31日)に当たっても翌年に延びません(国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問11)。2026年は、税務署の窓口に出せるのは12月28日(月)までです。e-Taxも12月29日〜31日は休止するため、送れるのは12月28日の24時までです(e-Taxの利用可能時間)。12月29日以後に出す場合は、12月31日までの消印(通信日付印)が付くように、郵便局の窓口から熊本国税局業務センターへ郵送してください。郵便で出した申請書は、消印の日に出したものとみなされます(国税通則法第22条)。「新たに事業を始めた」かどうかの判定は、国税庁「新規開業者向けページ」のFAQ 個人2・10・11・13をご覧ください。
登録すると、開業1年目から消費税の申告が必要になります。
- 2026年分は、要件を満たせば2割特例で、納める消費税を売上にかかる消費税の2割にできます
- 2027年分・2028年分は、要件を満たせば3割特例で、納める消費税を売上にかかる消費税の3割にできます。対象は、インボイスの登録などが無ければ免税事業者(消費税を納める義務がない事業者。開業した年と翌年は原則としてこれに当たります)だった年に限られます。判定は年ごとに行い、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える年などは使えません(たとえば2026年の課税売上高が1,000万円を超えると、2028年分は使えません。前年1〜6月の課税売上高と給与の支払額がともに1,000万円を超えた年も同じです)。事前の届出は要らず、確定申告書に適用を受ける旨を書けば選べます(国税庁のリーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」)
- 簡易課税(売上にかかる消費税に、業種ごとに決められたみなし仕入率を掛けた額を、仕入れにかかる消費税とみなして納める消費税を計算する方法)を開業した年から選ぶ場合は、その年の12月31日までに届出書を出します(国税庁の案内)
- 2割特例・3割特例を使った年の翌年から簡易課税にする場合は、その翌年分の消費税の確定申告期限までに届出書を出せば、その年から簡易課税を使えます(例:2026年分で2割特例を使い、2027年分から簡易課税にするなら2028年3月31日まで。国税庁のリーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」)
免税事業者の方が登録すると、登録日から2年を経過する日を含む課税期間までは、登録をやめても消費税の申告が必要です。どの計算方法が有利かは、業種・経費の割合・設備投資の予定で変わります。登録するかどうかとあわせて、開業の段階でご相談ください。
→ 登録した後の請求書の作り方は、マネーフォワード クラウド請求書の使い方で紹介しています。
6. 会社員を辞めて開業する方の健康保険・年金
健康保険は、国民健康保険に入るか、会社の健康保険を任意継続するかのどちらか一方を選びます(ご家族の健康保険の被扶養者になれる場合を除きます)。年金は、20歳以上60歳未満の方は国民年金への切り替えが必要です。厚生年金に加入している配偶者に扶養される場合(国民年金の第3号被保険者)は、配偶者の勤務先を通じて届け出ます。配偶者が協会けんぽに加入している場合は、健康保険の被扶養者の届出と第3号被保険者の届出が一体の様式で、扶養されることになった日から5日以内です(日本年金機構の案内)。健康保険組合などに加入している場合は、第3号被保険者の届出を14日以内に出し、健康保険の手続きは配偶者の勤務先に確認します。
| 手続き | 期限 | 窓口(熊本市の場合) |
|---|---|---|
| 国民健康保険に加入する | 健康保険の資格を失った日から14日以内 | 各区役所の区民課、各総合出張所、郵送 |
| 会社の健康保険を任意継続する | 資格を失った日(退職日の翌日)から20日以内 | 協会けんぽの場合は熊本支部。健康保険組合に入っていた方は、その組合 |
| 国民年金に切り替える(20歳以上60歳未満の方) | 退職日の翌日から14日以内 | 各区役所の区民課、各総合出張所、芳野分室。マイナポータルからの電子申請も可 |
国民健康保険の届出が遅れても、加入は資格を失った日にさかのぼり、保険料も最長2年分さかのぼってかかります(熊本市の案内)。任意継続は、退職前に継続して2か月以上加入していた方が、最長2年まで使えます(協会けんぽの案内)。国民年金の保険料は、2026年度は月額17,920円です(熊本市の案内)。切り替えの手続きは日本年金機構の案内にもあります。
配偶者が会社員の扶養(国民年金の第3号被保険者)だった場合は、配偶者の切り替えも必要です。国民健康保険と任意継続のどちらが負担が軽いかは、前年の所得や家族の人数で変わります。
7. 開業したらすぐやっておきたいこと
- 事業用の口座とクレジットカードを分ける。 記帳の手間が大きく減ります
- 最初からクラウド会計で記帳する。 白色申告でも、事業所得がある方は記帳と帳簿書類の保存が必要で、帳簿の保存期間は7年です(国税庁 No.2080)
- 領収書や請求書の保存方法を決める。 電子で受け取ったものは電子のまま保存する決まりがあります(電子帳簿保存法は何をすればいい?)
- 資金の計画を立てる。 開業資金の借入れは日本政策金融公庫と熊本の制度融資の比較にまとめています
- 最初の確定申告の時期を押さえる。 2026年に開業した方の最初の確定申告は、2027年2月16日から3月15日までです。2026年分・2027年分は基礎控除が引き上げられ、合計所得が489万円以下の方は104万円になります(国税庁 No.1199)
まとめ
- 2026年1月1日以後の開業は、開業届の期限が確定申告期限までに変わった
- ただし青色申告の申請は2か月以内、給与支払事務所等の開設届は1か月以内、熊本県への届出は10日以内と短い
- 熊本市にお住まいの方の開業届は、中央区・西区・南区・北区なら熊本西税務署、東区なら熊本東税務署(原則として、事務所の場所ではなく住所で決まる)
- インボイス登録は任意。 前年・前々年に副業などで消費税のかかる取引が無く、前年に開業準備(事務所の賃貸契約・備品の購入など)もしていない方は、開業した年の12月31日までに申請書で「事業を開始した課税期間の初日から登録を受けようとする事業者」を選んで出せば、その年の1月1日にさかのぼって登録を受けられる(当たらない方は、登録希望日からの登録)
- 会社員を辞めて開業するなら、健康保険は国民健康保険(14日以内)か任意継続(20日以内)のどちらかを選び(ご家族の健康保険の被扶養者になれる場合を除く)、国民年金へは14日以内に切り替える(20歳以上60歳未満の方)
※この記事は2026年10月時点の法令と各機関の案内にもとづく一般的な説明です。期限や窓口は変更されることがありますので、実際の手続きの際は各提出先の最新の案内をご確認ください。令和8年熊本地震により、八代市・宇土市・宇城市・氷川町に納税地(個人は原則として住所地)がある方は国税の、住所・主たる事務所・事業所がある方は県税の、2026年7月28日以後に期限が来る申告・申請・届出などの書類の提出と納付の期限が、申請しなくても延長されています。開業届、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届、熊本県への個人の事業開始等届出書も対象です(源泉所得税の納付は、給与を支払う事務所が対象地域にある場合に限ります。延長後の期限は別途告示。国税庁の案内・熊本県の案内)。対象地域以外の方も、地震の被害で期限までに手続きができない場合は、税務署や熊本県に申請すれば、期限の延長を受けられることがあります。



