「税理士の顧問料って、いくらが普通なんですか?」——熊本で創業される方や、税理士の変更を考えている方から、いちばん多くいただく質問です。

正直にお答えすると、税理士報酬に公定価格はありません。 かつて存在した税理士会の報酬規定は2002年(平成14年)4月施行の税理士法改正で廃止され、いまは事務所ごとに自由に決めています。だから「相場」を調べても、サイトによって数字が違います。

この記事では、①熊本で確認できた公開料金例、②見積書を比べるときに確認したい8項目、③当法人の料金表を例にした「年間いくらになるか」の読み方、④料金より先に決めておきたい3点、の順に整理します。当法人も選ばれる側ですので、その分は差し引いてお読みください。

1. 熊本で確認できた公開料金例

前述のとおり税理士報酬に公定価格はなく、熊本共通の統一的な標準報酬もありません。以下は「熊本の平均相場」ではなく、当記事が2026年8月19日に確認した、熊本の税理士事務所2件のコラム・ブログと民間の紹介サイト1件が「一般的な目安」として公開している金額です。統計調査として件数や抽出方法を設計したものではなく、業務範囲・売上規模・面談頻度・記帳代行の有無・決算や消費税申告の包含範囲・税込か税別かもそろっていないため、単純には比べられません。

出典(2026年8月19日確認) 掲載されている目安 税込・税別 性質・前提
税理士法人ストラテジー コラム「熊本の顧問税理士の料金相場はどのくらい?サービス内容は?」 「一般的」な目安として、法人 月5万円〜、個人事業主 月3万円〜 記載なし 熊本の税理士事務所のコラム。一般的な目安の説明(同ページには同事務所の料金表もありますが、本記事では引用していません)
仁王さん通り税務会計 ブログ「熊本で顧問税理士を選ぶ7つのポイント|顧問料の相場と見極め方」(2026年7月13日公開) 複数の紹介・比較サイトの公表値として、法人 月2万〜7万円程度、個人事業主 月1.5万〜3万円程度+確定申告料。決算申告料は月額顧問料の4〜6か月分程度、記帳代行を追加する場合は仕訳数に応じて月5,000円〜3万円程度の上乗せ 記載なし 熊本の税理士事務所のブログ。一般的な目安の説明(同事務所自身の料金ではありません)
税理士ドットコム 熊本特集「熊本でおすすめの税理士事務所比較23選!税理士の選び方や費用相場も併せて紹介」(2025年3月15日更新) 顧問料は月3万円程度、法人(年商900万円・毎月訪問)で月2.5万円〜。決算申告のみなら15万〜25万円、顧問契約ありなら月額顧問料の4〜6か月分。確定申告は白色申告で5万〜10万円程度、青色申告は売上規模等により5万円〜 記載なし 民間の税理士紹介サイトの記事。「熊本の税理士の費用相場」の見出しで掲載されていますが、熊本に限った調査方法・根拠の記載はなく、本記事では地域を特定しない一般的な目安として扱っています

3件から読み取れるのは、次の3点です。

  • 法人の月額顧問料の目安として、月2万〜7万円程度(1件)、月3万円程度・法人の例で月2.5万円〜(1件)、月5万円〜(1件)が示されている
  • 決算申告料を「月額顧問料の4〜6か月分程度」とする記述が2件にある
  • 記帳代行を頼むと月5,000円〜3万円程度が上乗せされるとする記述が1件にある

熊本全体の平均や相場を示す統計ではないことは、重ねてお断りしておきます。

幅が広いのは、「月額に何が含まれているか」が事務所ごとに違うからです。訪問の有無、記帳を誰がやるか、給与計算・年末調整・消費税申告が別料金か——こうした条件で年間の総額は大きく変わります。次の8項目で、見積書の中身をそろえて比べてください。

2. 見積書を比べるときの8つの確認項目

項目1:記帳は誰がするか(記帳代行か、自計化か)

  • 記帳代行:領収書や通帳を渡して事務所が入力する。月額は高めになりやすいが、社内の手間は少ない
  • 自計化:自社でクラウド会計に入力(または銀行・カードの自動連携)し、事務所が確認する。月額は抑えやすいが、最初の設定と慣れが要る

当法人はマネーフォワード クラウド会計を前提に、銀行・カード・請求書・給与のデータを自動連携させ、基本は連携サービスからの仕訳連携機能で効率的に仕訳を登録します。連携サービスでは取り込めない領収書や通帳などは、AI記帳で効率的に記帳する仕組みを確立しています(AIが読み取って作成した仕訳は担当者が確認します)。「入力作業そのもの」を減らすので、記帳代行に近い手間の少なさで、自計化に近い料金帯を目指しています。どちらが合うかは、経理担当の有無と取引量で変わります。

項目2:決算申告料は月額に含まれるか、別か

月額顧問料と決算申告料は別建てが一般的です(第1章の3件でも、決算申告料は月額顧問料とは別に示されています)。月額が安く見えても、決算料が月額の6か月分なら年間は「月額×18か月分」です。必ず年間合計で比べてください。

項目3:消費税申告・所得税徴収高計算書・年末調整・法定調書・給与支払報告書・償却資産申告は含まれるか

見落とされやすい別料金の代表です。特にインボイス発行事業者として登録している間(登録の効力がある課税期間)は、売上高にかかわらず原則として消費税申告が必要になります。「決算料に消費税申告は含まれますか」は、そのまま聞いてよい質問です。

所得税徴収高計算書(源泉所得税の納付書)、年末調整・法定調書(源泉徴収票・支払調書など)、給与支払報告書・償却資産申告も、月額顧問料とは別料金にしている事務所もあります。当法人では、原則として月額顧問料に含めた形でこれらに対応しています。従業員が多い場合や、マネーフォワード クラウド給与以外のシステムをお使いの場合は、ご相談のうえ年末調整や給与支払報告書の料金を別途いただくことがあります。

項目4:面談の頻度と方法(訪問・来所・オンライン)

毎月の訪問がある事務所は月額が高くなりがちです。一方で、数字の共有はクラウドで、相談はオンラインでという形なら、頻度を落とさず料金を抑えられます。「毎月会える」ことと「いつでも聞ける」ことは別なので、連絡手段(メール・チャット)の有無も確認してください。

当法人では、定期面談をオンライン(WebMTG)で行い(スタンダードプラン以上は毎月、ライトプランは隔月。契約直後の数か月は必要に応じて毎月)、日々のご質問やタスクのやりとりはタスク管理ツールのBacklogで、資料の受け渡しはアクセス権を限定したGoogle ドライブで行っています。メールに添付ファイルを付けて送り合う形ではなく、記録が残り、関係者だけが見られる場所で安全に情報をやりとりする仕組みです。

項目5:給与計算・社会保険関連の扱い

給与計算を含むかどうかでも、年間の総額は変わります。税理士事務所の「給与サポート」がどこまでか(計算の代行まで/システムの操作支援まで、従業員数の上限や追加料金の有無)を確認してください。なお、社会保険・労働保険の申請書類の作成・提出代行は、原則として社会保険労務士が担当する業務です。

当法人では、マネーフォワード クラウド給与を使った給与計算のサポート(設定・操作のサポートと、年末調整・給与支払報告書などの税務関係の対応)を、全プランの月額顧問料の範囲内で行っています(第3章の料金表の「含まれるもの」に入っています。従業員数など規模によって料金が変わる場合があります)。就業規則や労働時間・割増賃金の個別判断、社会保険・労働保険の申請書類の作成・提出代行、労務相談は含みません。マネーフォワード クラウド社会保険についても操作・設定のサポートは対応しますが、手続き代行や労務の相談は社会保険労務士のお仕事になります(必要な場合はご案内します)。

項目6:クラウド会計・ソフトの利用料は誰が払うか

クラウド会計を使う場合、ソフトの利用料は顧問料とは別に、通常お客様のご負担です。当法人でも、マネーフォワード クラウドなどのシステム利用料は原則としてお客様のご負担とさせていただいています。月額顧問料が安く見えても、ソフト代を足した総額で見てください。逆に、記帳代行型でお客様側にソフト代がかからなくても、事務所側が負担するソフト代が月額顧問料に織り込まれていることがあります。

項目7:料金が上がる条件と、いつ見直されるか

売上規模・取引量・拠点数・従業員数が増えると顧問料が上がるのは一般的です。「どの基準で、いつ(毎期?契約更新時?)見直すか」を最初に聞いておくと、後のすれ違いを防げます。税務調査の立会い、補助金申請、融資に伴う事業計画書の作成などは、月額顧問料に含めず別料金としている事務所もあります。契約前に、対応の可否と追加料金を確認してください。

項目8:バックオフィス全体の効率化まで含まれているか(時間の削減効果)

月額の金額には表れませんが、税理士に頼むことでバックオフィスにかける時間がどれだけ減るかは、料金の差と同じくらい大きな違いになります。freeeやマネーフォワード クラウドには、会計だけでなく請求書・経費精算・給与計算・年末調整・勤怠管理などの機能と、それらをつなぐ関連アプリケーションが用意されています。これらを使いこなせるかどうかで、会社がバックオフィスにかける時間はかなり変わります。 同じ「月額2万円」でも、税務と経理の対応にとどまる事務所と、これらの機能の設計・設定・運用まで一緒に進めてくれる事務所とでは、経営者や担当者の手元に残る時間が違ってきます。

見積書を比べるときは、「税務と経理の対応だけか、請求・経費・給与・勤怠まで含めたバックオフィス全体の設計と運用まで支援してくれるか」を確認してください(項目1の記帳方式、項目5の給与、項目6のソフト利用料とも関係します)。月額の差が数千円でも、毎月の作業が数時間減るなら、その分を本業に使えます。

3. 例:当法人の料金表で「年間いくらか」を読む

上の8項目を、当法人の料金表(2026年8月19日時点)に当てはめてみます。金額はいずれも「〜」付きの下限で、事業規模により変わります。顧問料は毎期、協議のうえ事業規模(売上基準)や対応内容により見直すことがあります(項目7)。表の「年間合計」は税理士報酬の合計(マネーフォワード クラウドの利用料と追加業務は含みません)で、消費税申告がある場合とない場合を分けて示しています。なお、この章は年間総額の読み方を示すための例であり、第1章で名前を挙げた事務所・媒体の目安と当法人の料金を比較する趣旨ではありません。

法人(年商〜1,000万円のライトプランの場合)

項目 金額(税別) 参考:税込
月額顧問料(15,000円〜×12か月) 180,000円〜 198,000円〜
決算申告料 100,000円〜 110,000円〜
消費税申告料 20,000円〜 22,000円〜
税理士報酬の年間合計(消費税申告あり) 300,000円〜 330,000円〜
税理士報酬の年間合計(消費税申告なし) 280,000円〜 308,000円〜
  • 含まれるもの:マネーフォワード クラウド会計・給与・請求書の運用サポート(給与計算サポートを含む)、AI記帳、会計・税務相談(WebMTG)、隔月の面談(年6回。契約直後の数か月は必要に応じて毎月)、マネーフォワード クラウド社会保険の操作・設定サポート(手続き代行・相談は含みません)、所得税徴収高計算書・年末調整・法定調書・給与支払報告書・償却資産申告(原則として月額に含む。従業員が多い場合やマネーフォワード クラウド給与以外のシステムをお使いの場合は、年末調整や給与支払報告書について別途ご相談)
  • 別料金・別負担:マネーフォワード クラウドの利用料(お客様負担)、税務調査対応、補助金申請
  • 上位プランで提供:経費精算・債務支払のサポート(スタンダードプラン以上)
  • 年商1,000万〜1億円はスタンダードプラン(月額30,000円〜。消費税申告ありで年間570,000円〜、税込627,000円〜。毎月面談)、年商1億円〜はプレミアムプラン(月額50,000円〜。消費税申告ありで年間900,000円〜、税込990,000円〜。毎月面談+随時対応)

個人事業主(年商〜1,000万円のライトプランの場合)

項目 金額(税別) 参考:税込
月額顧問料(10,000円〜×12か月) 120,000円〜 132,000円〜
確定申告料 80,000円〜 88,000円〜
消費税申告料 15,000円〜 16,500円〜
税理士報酬の年間合計(消費税申告あり) 215,000円〜 236,500円〜
税理士報酬の年間合計(消費税申告なし) 200,000円〜 220,000円〜
  • 年商1,000万円〜はスタンダードプラン(月額20,000円〜。消費税申告ありで年間360,000円〜、税込396,000円〜。毎月面談)

こうして並べると、「月額1万円」という数字だけでは判断できないことが分かります。他の事務所の見積書も、同じ表の形に直して(税込か税別かもそろえて)比べてみてください。詳細は料金案内に、熊本での対応範囲や事務所の概要は熊本で税理士をお探しの方へにまとめています。

4. 「安い・高い」より先に決めたいこと

料金を比べる前に決めておきたいのは、次の3点だと考えています。

  1. 自社の経理をどこまで自分たちで持つか(記帳・請求・給与を社内で回すのか、任せるのか)
  2. 税理士に何を期待するか(申告だけか、月次の数字を見て相談する相手か)
  3. バックオフィス全体にかける時間を、どれだけ減らしたいか(項目8)

3点目は料金表に表れにくいので、項目8として独立させました。ですから税理士を選ぶときは、税務や経理の対応だけでなく、バックオフィス全体のサポートを受けることで得られる時間の削減効果も加味して決めるのがよい、と当法人は考えています。アイファー税理士法人も、経営者や経理担当者の方がバックオフィスに費やす時間をできるだけ減らすことを軸に、クラウド会計の設計から日々の運用サポートまでを組み立てています。

この3点が決まれば、必要なサービスの範囲が決まり、比べるべき料金帯も絞れます。決まっていない段階でも、「うちの規模だと年間いくらくらいで、何が含まれますか」と聞けば、多くの事務所は答えてくれます。

税理士の変更や、初めての税理士探しでお悩みでしたら、当法人でも初回のご相談は無料でお受けしています。見積書の見方だけのご相談でも構いません。料金についてのお問い合わせはこちら


参考(2026年8月19日確認):第1章の表に掲げた3件(税理士法人ストラテジーのコラム、仁王さん通り税務会計のブログ、税理士ドットコムの熊本特集。各出典へのリンクは表内)を参照しました。いずれも各事務所・媒体の見解であり、金額は変わることがあります。税理士報酬が自由化されている経緯は日本税理士会連合会「税理士に相談する」、インボイス発行事業者の消費税申告は国税庁「確定申告(インボイス発行事業者)」をご参照ください。

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