「税理士を変えたいけれど、次はどう選べばいいのだろう」「顧問料が適正なのか分からない」——熊本でも、こうしたご相談は少なくありません。
税理士は、経営者にとって最も身近な専門家です。しかし「開業のときに紹介された税理士に、そのままお願いしている」というケースは多く、比べたことがないから不満の正体も分からない、という状態になりがちです。
この記事では、税理士を選ぶ・見直すときのチェックポイントを5つに整理します。当法人自身も選ばれる側ですので、その分は差し引いてお読みください。それでも、どの事務所を選ぶ場合でも役に立つ基準を書いたつもりです。
ポイント1:レスポンスの速さと、やり取りの残り方
当法人への変更のご相談では、「連絡しても返事が遅い」「質問の回答に何日もかかる」というレスポンスに関する不満をよく伺います。
チェックすること
- 問い合わせへの通常の返信目安を確認する(迅速な連絡を重視されるなら、当法人では1営業日以内を一つの目安としてご案内しています)
- メール・チャットなど、電話以外の連絡手段があるか
- 担当者が固定されているか(毎回違う人が出るのは負担です)
- 繁忙期(確定申告期など)でも連絡がつくか
- やり取りの記録が残る仕組みがあるか(口頭中心だと「言った・言わない」が起きます)
初回相談への対応スピードは、契約後の連絡体制を確かめる材料の一つになります。
ポイント2:クラウド会計・ITツールへの対応
クラウド会計やITツールを使った経理体制は、もはや「先進的な取り組み」ではなく標準になりつつあります。ここへの対応は、事務所によって差が出やすいところです。
チェックすること
- クラウド会計(マネーフォワード クラウド、freeeなど)に対応しているか。ソフト提供会社の認定アドバイザー制度への登録も、運用経験を測る目安になります(これは税理士資格とは別の、ベンダーによる認定です)
- 資料のやり取りが紙・FAX中心ではなく、クラウドベースでできるか
- オンライン面談(WebMTG)に対応しているか
- 電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を、こちらから聞く前にリードしてくれるか
クラウド会計での効率化を希望される場合、対応していない事務所では、望む運用を実現しにくいことがあります。会計ソフト選びで迷っている段階なら、マネーフォワードとfreeeの比較記事も参考にしてください。
ポイント3:自社の業種・業態への理解
税理士にも得意分野があります。自社と同じ業種の顧問経験がある税理士なら、話が早く、的確な助言が期待できます。
チェックすること
- 自社と同じ業種・近い規模の顧問経験があるか
- 業種特有の税務(例:医療機関の社会保険診療にかかる特例、IT企業の研究開発税制など)に触れたことがあるか
- 業界の商慣行(入金サイト、外注構造、季節変動など)を理解しているか
初回相談で自社の商売の仕組みを説明したときに、どこまで具体的な質問が返ってくるかで、だいたい分かります。
ポイント4:料金体系の透明性
「顧問料は月3万円と聞いていたのに、決算料・年末調整・各種届出が別料金で、年間では想定の1.5倍になった」——このすれ違いは、金額そのものより内訳が事前に示されていないことが原因です。
チェックすること
- 顧問料に何が含まれ、何が別料金かが明確か
- 決算・申告の報酬が事前に提示されているか
- 追加料金が発生する条件が示されているか
- 契約前に年間の概算総額を出してもらえるか
顧問料の相場を聞かれることも多いのですが、訪問頻度・記帳をどちらがやるか・売上規模によって大きく変わるため、月額だけを並べて比べてもあまり意味がありません。「年間総額で、何をしてもらえるか」で比べてください。当法人は標準プランの料金と主な追加料金を公開していますので、比較の物差しにしていただけます(個別の業務範囲と年間の概算額は、お見積り時にご案内します)。
ポイント5:経営アドバイスの姿勢
税理士の法定業務の中心は、税務代理・税務書類の作成・税務相談です。これに加えて、事務所によっては月次報告や資金繰り、経営計画の支援も提供しています。こうした助言を求めるなら、顧問契約に含まれる範囲と追加料金の有無を確認してください。
チェックすること
- 月次の試算表をもとに、数字の意味を説明してくれるか
- 資金繰りや融資(創業融資・借換え)の相談に乗ってくれるか
- 目先の節税だけでなく、納税資金や将来の投資まで含めた先を見た提案があるか
- 事業承継や相続など、長期の課題にも対応できるか
「記帳と申告だけを頼みたい」という方針もあり得ます。大事なのは、自分が税理士に何を求めるかを決めてから選ぶことです。
よくあるご質問
Q. 税理士を変えるタイミングは、いつがいいですか。
決算・申告が終わった直後が最もスムーズです。引き継ぎに要する期間は、契約上の解約予告期間や資料・会計データの状況によって変わります。余裕をみて1〜2か月以上前から、新旧の事務所と日程を調整してください。対応への不満が明確なら期中でも変更できます。期中の場合は、それまでの記帳データを引き継げるかを新旧双方に確認してください。
Q. いまの税理士に不満を伝えづらいのですが。
解約の意思表示は契約に沿って行えば足り、理由を詳しく説明する義務はありません。「顧問契約を〇月末で終了したい」と伝え、預けている書類(決算書・申告書の控え、総勘定元帳、届出書の控えなど)の返却を依頼すれば大丈夫です。
Q. 税理士と公認会計士は何が違いますか。
税理士は税務の専門家、公認会計士は会計監査の専門家です。公認会計士は税理士登録をすれば税務もできるため、両方の資格を持つ専門家もいます。中小企業の顧問は、税理士(または税理士登録をした公認会計士)に依頼するのが一般的です。
Q. セカンドオピニオンだけでも相談できますか。
できます。いまの税理士との契約を続けたまま、「この処理でよいのか」「この料金は妥当か」といった相談だけを、別の税理士に依頼することも可能です。
Q. 相手が本当に税理士かどうかを確かめられますか。
確かめられます。税理士業務を行えるのは、税理士名簿に登録した税理士と税理士法人だけです。日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで、氏名や事務所の所在地から登録の有無を確認できます。税理士法人であれば、法人としての登録も同じサイトで確認できます。契約の前に一度調べておくと安心です。
まとめ
- レスポンス … 返信の速さと、やり取りの記録が残る仕組み
- ITへの対応 … クラウド会計・オンライン面談・制度対応をリードしてくれるか
- 業種理解 … 同業種の顧問経験と、商売の仕組みへの質問の具体性
- 料金の透明性 … 月額ではなく「年間総額で何をしてもらえるか」
- 経営アドバイス … 数字を作るだけでなく、数字の先の話ができるか
この5項目を面談で確かめておくと、ご自身の希望と事務所のサービスとのミスマッチを減らしやすくなります。あわせて、契約の前に税理士情報検索サイトで登録を確認しておくと確実です。
※この記事は2026年8月時点の一般的な情報にもとづいています。税理士の変更をご検討の際は、現在の契約書の解約条項(予告期間など)をご確認ください。


